新しい下層民街

文字数 654文字

 民間企業と呼ばれるものは、国の保護がないと立ち行かない程、自立していなかったのだ。
俺達は全員公務員と変わらなかったのだ。
 だが、それを打ち破ったのが外層民。
我々は誇りを持ってそう名乗っている。
所謂、非権力者の者達だ。

 10年以上前から、ドラゴンが活動を始めた以前より、国の仕事の一部が下層民に回るように契約を取り付けていたようだ。
市民が嫌がるゴミの分別処理などがそれだ。
 ロボットでやっていたのを、下層民に回すことにより金を得ていたのだ。

 そして、そのお陰で精密機械、特に携帯電話などの機械を回収、修理して組織で使っていたのだ。その他の機械も、世界政府の一般市民の技術者のレベルが下がり。人間では対応出来なくなり、ロボットに修理させていたが。

 そのロボットが故障しても修理が出来ず、と負のスパイラルは結局、我々下層民の台頭促す結果となったのだ。
 我々は今、緩やかな静かな革命を行っている途中なのである。
 そして政治にも進出していた。

「じゃ俺達、用済みじゃん」

俺が言うと龍二は、

「そうかもな。まあ、サンドイッチ屋頑張ってや」

「えっ?決定済みなの」

「あははは」

 下層民街に着いた。以前と同じ川沿いの堤防の横が我々の住み家だ。
尤も俺は住んだは事ない。
俺は10年前、日本を出た切りだからだ。
従ってこの町の規模も人の数も一切知らない。
 あの日、出会った人々から、その数を想像するだけだった。

 だが、そこは以前とは違っていた。
巨大な工事が建っていたのだ。
道も整備されて舗装され、トラックが行き交う場所へと変貌していた。
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