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文字数 662文字

 人々を散々弄んで自分勝手に振り回して。
今度は解毒剤を作ると言うのか?
 ふざけるな、俺は怒りで顔が真っ赤になり、
震えてさえいた。
銃を持っていたら、迷わずドラゴンを撃ち殺すところだった。すると龍二が、

「それを水道に混ぜて飲ませるのか?
それで、世界政府の治世は完璧になるという
筋書きか?」

と言った。
 龍二も少々憤りを感じているのが分かった。
彼らの下手なやり方で、自分達が唯、唯、巻き込まれ振り回されていると思ったのだろう。
だが親父、龍二にとって育ての親父の悩んだような、言い訳じみた言葉に、龍二は完全否定が出来ずに躊躇っている様だった。
 俺は堪らず、

「こっちでやりゃ良いだろう。
反政府組織で、造りゃ良いだろうに。
そして売れば、資金源になる」

と、一応空気を読んで言ってやった。
 すると、

「研究機関の規模と能力が違い過ぎる。
電子機器は反政府組織の方が強いが。
薬の分野については世界政府の方が上だ。
だからだよ、俺は俺の考えで、こっちで薬を作ることにした。それが俺の闘いの目的でもあるのでな。ドンパチはもう沢山だ」

「よく言うよ。今まで、散々やっておいて」

俺は溜息をついた。
 だがドラゴンの言いぶりでは、俺達を人質にする理由が、今一つ分からなかった。
 するとスミスが、

「さて、話は飲み込めたかな?
そこで私からの話だ。君等をここへ連れて来たのは、君等を世界政府に勧誘する為だよ。
薬学の知識は無いだろうが。大山君が安心して研究する為にも、君等にはこっち側にいて欲しいんだがね。組織でも既に御荷物なんだろう?
露天商などやっているところを見ると」
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