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文字数 655文字

「えーっほーっ」

と俺は感心するだけだった。

「それで、どうするのでしょうか?
我々は日本から撤収ですか?」

俺がビクッとすると。

「それはないな。唯な今重要な案件を扱っているのだ。世界政府の中枢と呼べる数人の重要人物がピックアップされた。
そして、その者達の居場所もな」

龍二は殺気立った顔で、

「暗殺ですか・・・」

と呟いた。すると裁判官は手を振り、

「ムリムリ!そんな事をしてみろ。バカな国民は暴動を起こすか、気の弱い奴は自殺じゃ。
まったく人間は、どこまで怠惰に生きているのだろうな」

「はぁ」

龍二は相槌を打った。
 俺は会話に興味が無くなっていた。

「ようやく政府に、水道水に安心薬を入れさせない法案を通したと言うのに。
1年で十倍の精神疾患患者が出て。今では自販機で安心薬ジュースを売っている程だ。
製薬会社はボロ儲けで会社を大きくしやがった。最近は、コーヒーフレーバーだのオレンジだの発売していて、飛ぶように売れている」

 俺は10年前を思い出し、苦い思いが浮かんだ。あの1日、俺は安心薬を抜かれ、精神的にも肉体的にもボロボロにされたのだ。
 やりたいやつは、安心薬で安心してろと言いたかった。それは俺達の戦いとは、関係無いと思えたのだ。

「では、我々は何を?」

 と龍二が言うと。

「治安維持でも、と言いたいが。それは警察がやる。今や漸く警察やその他の司法機関が、
健全になってきている。
君等は何処かに隠れていてくれ。
下層民街は駄目だぞ。あそこは解放区になっている。街も整備が始まり、仕事も以前より回り。今や社会の重要地区になりつつある」
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