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文字数 724文字

 河野は

「分かりました」

と怒りで目眩を起こしながら、そう返事をすると、立ち上がった。
 そして、出てゆこうとすると、議長が、

「待て!まだ、話は終わっていない!」

と言った。
河野は副官と共に、ドアの前で振り返り。

「司令としての仕事があります。
 会議での決定事項だけお伝え下さい」

と出ていってしまった。
 幹部達はため息をついたが。むしろ、話を聞かれずに済むと、安堵する者もいた。

 ✳ ✳ ✳ ✳

 それから数時間後、呼び出しをくらい。俺はチョウさんの店から、地下道を通ってアジトへと行った。こんな道があるとは知らなかった。
 第三次世界大戦の時に、地下鉄の軌道を移動用地下道としたものだと聞かされた。

 整備もされてなく、水漏れや瓦礫が到る所に小積んであった。殆ど崩れていて、人が一人二人通れる程度の地下道だった。
 200年経っても使えるのだから、大したものだが。いつ崩れるのやらと、ヒヤヒヤしたものだ。連れて行かれたのは支部の1室。
更に地下へと入った。

 シューターを使うのだなと直ぐに分かった。
嬉しいのもあったのだが、何故か俺が救出班に選ばれた事に、嫌な予感がしていた。
 何となく、ユニコーンと俺の二人の口封じをしようとしている気がしていたのだ。
 考え過ぎたと否定しても、否定しても、その考えが頭の中に残ってしまった。

 シューター施設はエネルギーを充填していて。機械が、人が賑やかだった。
 河野さんが俺を迎えてくれた。

「キリン、君はあの二人のメンバーと共に、
ヨーロッパに行く。場所はフランスだ。そこからドイツ、ベルギーイギリスへと渡る筈だ。
二人の付き添いが、お前を敵の所まで導く。
気をつけて・・・」

と言って。河野さんは俺の両肩に手をあてると下を向いてしまった。
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