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文字数 651文字

「どうせ、お前が極東の司令官になれってやつだろ」

と龍二は不愉快そうに言った。
 俺は真面目な顔で、

「お前やれよ」

と言ってやった。すると速答で、

「嫌だよ」

「何でだよ。お前の方が向いている」

「バカ、本部の指令は絶対だ」

「聞いたこと無いよ」

「兎に角、嫌だ」

「何で?」

「煩い、お前やれ」

「やだよ」

「アホか!」

「アホはどっちだ」

と言い争いになったが。ハッと閃き俺は、

「待て待て。俺達は両方ともアホだ。
河野先輩にやってもらおう。お年だし」

と言うと、龍二は、

「あははは!確かに!」

と言った。河野先輩はドラゴンの右腕と言われた男で。多分、今は日本支部の司令官代理をしている筈だ。
俺を10年前、繁華街でピックアップしてくれたのも河野さんだ。

「ところで、どこ行くの、アジト?」

と俺が聞けば。

「アジトは後で良いだろう。その前に裁判官に会えって。河野さんからの指示」

「へぇ〜、あの人ね」

「えっ?知ってるの?」

「知らない」

俺の惚けた答えに、龍二はため息をつきつつ。笑い話をしながら、裁判官に会うために裁判所へと向かった。ふと気になり、

「ああ、どうやって入るの?」

と俺は龍二に聞いた。すると、

「どうにでもなるさ」

との返事。俺は、

「嫌だな〜、警官一杯いるし。テレビカメラも多いしねぇ。アジトで、ご飯食べない?
長旅で疲れてるからさ」

と本心を言うと。

「アホ、俺達は忙しいんだ。お前を迎えに行ったのはついでだ。警察に捕まったりするから、時間が押している。四の五の言うな」

「へぇー、へぇー」

 龍二は毒づきながら、正面ではなく裏口へと向かった。
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