函館(4)

文字数 620文字

 そろそろ寝ようと部屋に戻った。私とナオが同室だった。

「ピンポーン」

 ドアチャイムが鳴った。

「私。」

 キョウコだ。ドアを開けてキョウコを中へ入れた。

「部屋入れないよ、私。」

 キョウコが言った。

「どうしたの?」

「鍵は開くけど中でサトミちゃんとあの男が話してて・・・」

 キョウコが続ける。

「何て言うか入っていきづらい空気。サトミちゃん泣いてるみたいで、アイツが慰めてるみたい・・・」

 と言った。

「うーん。」

 私は唸った。

「とりあえずしばらくここにいなよ。」

 ナオが言った。

 30分位してからもう一度キョウコが部屋に様子見に行った。戻ってきて

「ダメだよ、全然。」

 と言う。

「じゃあ、もうこっちで寝たら?」

 ナオが言った。

「いいかな?」

 キョウコが言う。

「もちろん。いいよ、いいよ。そうしなよ。」

 私も言った。結局その晩キョウコは私達の部屋で寝た。

 翌朝、身支度をしにキョウコは部屋に戻った。朝食の席でサトミは私達にも謝った。キョウコから

「2人の間に何があったかは言わないけど明け方まで一緒にいたって。」

 と聞いていた。

「ごめんね。みんなに迷惑かけて。」

 サトミは言った。

「別に迷惑ではないけどさ、全然。」

 私は言った。

「それより大丈夫なの?」

 ナオが聞いた。

「うん、大丈夫。」

 サトミは言った。

 私達は何が大丈夫なのかよくわからないという様子でいたけれど、サトミは昨晩の事にそれ以上触れて欲しくない様子だったので私達もそれには触れないようにした。
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