ディズニーランド(1)

文字数 531文字

 ディズニーランドには大学卒業の少し前にバイト仲間と来た。1年と少し前になる。

 あの頃はそう、早川さんに恋をし始めた頃。まだ1年ちょっとしか経っていないなんて。

 あれ以来連絡はなかった。早川さんはどうしているのだろう。別れ話さえしなかった。他の人を愛してしまった。

 そしてその人に内緒でこんなふうに出かけるなんて・・・そんなことを考えていた。

 約束の時間の少し前に駅に着いた時にはヒカルはもう来ていた。私を見つけて手を振っている。

「おはよう。」

 と言いながら私は近づいていった。

「本当に来てくれるかちょっと心配だったよ。」

 ヒカルが言った。

「私、約束をすっぽかしたりはしないよ。」

 私は言った。

「行こう。」

 ホームへ上がって電車を待った。休日の京葉線はいつにも増して本数が少なくかなり待った。

 こうして並んでみるとヒカルは背がとても高い。高いとは思っていたけれどこんなに違うと思わなかった。顔立ちは悪くないから好きな人は好きかもしれない。

 でも容姿についてはともかくその全体的に醸す雰囲気が私の「タイプ」とは正反対だった。

 私は「影がある」とか「不器用で口下手」で「無口」でいつも1人でいるような孤独感をまとった、ハードボイルドを感じさせる男性に無性に弱かった。
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