祝福(1)

文字数 694文字

 函館にいた時も課長に手紙を書いた。

 私が函館から帰ると入れ替わりで課長はラスベガス、ロサンゼルスへ添乗に行ってしまった。

 課長がいないとやる気がないと言われたくなかったので、留守中は普段以上に頑張って仕事をした。

 課長も添乗の合間に、私が外出中の寄り道で見つけてプレゼントしたかわいいメモに毎日メッセージを書いてお土産と一緒に渡してくれた。

 時差ぼけとハプニングの連続でなかなか大変な添乗だったのがわかるメッセージだった。そんな大変な時に眠いと言いつつ書いてくれたことが嬉しかった。

 函館から帰って1ヶ月も経たない頃の事だった。

「今日サトミちゃんがご飯食べて帰ろうって。大丈夫?」

 ナオに聞かれた。

「わかった。なるべく早く上がれるようにする。」

 私は答えた。

 課長に誘われたけれど

「今日はサトミちゃんとナオと約束してるからダメ。」

 と断った。

「そうか。たまには同期で行っておいで。」

 と課長も言ってくれた。

 サトミのいる管理課はいつも定時で終わる。サトミも私を手伝ってくれた。ナオはまだ終わっていなかった。急いだのでなんとか19時過ぎには会社を出られた。

 ナオが銀座支店に異動になってからはよくマリを入れた4人でご飯を食べていたのだけれど最近はランチだけだった。

 ランチも時間がずれると4人一緒は難しい。今日マリはほかに予定があって来られなかった。

「何食べる?」

 なかなか店が決まらなかった。迷ったあげく結局インズの中のイタリアンに入った。

 ピザとパスタを2種類とグラスワインを注文した。サトミが口を開いた。

「函館ではごめんね。本当に。」

 私もナオもそんなこともう気にしないでと言った。
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