ディズニーランド(6)

文字数 751文字

 やっとのことで私たちの番が来てあっという間にアトラクションは終わった。待ち時間の長さを考えればなんというあっけなさ。

 すでにお昼近くなっていた。

「次どこ行く?」

 ヒカルが聞いた。

「もう1時間も並ぶの嫌だな。ちょっと休憩しようよ。」

 私は言った。

「お腹空いた?」

 ヒカルが聞いた。

「お腹はそんなに空いてないけど疲れた。」

 私は言った。

「ね、写真撮ろう。」

 ヒカルが私の腕を引っ張った。

「今日写真いっぱい撮ろう!記念日だから。」

 と言う。

「記念日?」

「そう。俺達の初デート。」

「初デートねえ・・・」

「後になったら2人の大切な記念日になるかもしれないじゃん。」

 ヒカルは勝手に1人で盛り上がっていた。

「そんな日が来るとは今のところ考えにくいんですけど。」

 私は言った。

 そんな感じでこの日はフォトスポットでたくさん写真を撮った。

 アトラクションは混みすぎていて1時間以上待って乗っては休み、パレードやショーを見ては休みという感じでだんだんと夜が近づいてきた。

「疲れた?」

 ヒカルが聞いた。

「うん。ちょっとね。待ち疲れた。」

 私は答えた。

「もうすぐ記念日も終わっちゃうな。」

 ヒカルが言った。

「あっという間だな、楽しい時間は。さっき着いたと思ったらもう夜だもん。」

 独り言みたいに言った。

 私とは微妙に違うテンション。

「また来たいな。ミズキと。絶対。」

 ヒカルが言った。

「ねえ。」

 私は言った。

「私、今日は楽しかったけど・・・」

 ヒカルは黙っている。

「なんて言ったらいいかわかんないけど、私、わからないよ。一応付き合ってる人いるし。」

「わかってる。」

「だからこんな風にまた会えるかどうかわからないし会いたくなくなるかもしれないし。」

 ちょっと傲慢で残酷な言い方だったけれどはじめにはっきり言っておきたかった。
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