暗雲(4)

文字数 505文字

 なんだかすっかりペースに乗せられてしまった。明日ディズニーランドに行く事になるなんて。

 私、今それどころじゃないのに。そんな気分じゃないし楽しめそうもない。やっぱりもう一度電話して断ろうかと思った。

 課長は今頃どうしてるんだろう。
 課長だって不安なはず・・・

 よりによって支店長に遭遇するなんて。しかも私ときたら課長の腕に絡まっておねだりのポーズをしていた。弁解の余地がない。処分がないはずがない。

 課長は今頃・・・

 落ち着かない気分を奥さんに悟られないように演技しているはず。

 気取られないように、不審がられないように、それともそんな理由もなく日常的な夫婦の営みとして奥さんを抱くとか・・・

 また悶々としてきた。私ばかり嫉妬に苦しむのはずるい。課長もこの苦しみを味わってみればいい。

 愛してる人がほかの誰かに触れる事を想像する苦しみ。課長も私と対等な立場になって苦しめばいい。

 それにもし別の誰かに目が向けば私自身も楽になれるかもしれない。課長への思いを断ち切るためのステップになるかもしれない。

 それに私には気分転換が確かに必要だ。

 そんなつもりと意識してはいなかったが私はそうしてヒカルを利用したのだ。
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