逃げ道(7)

文字数 546文字

 この前プールに来たのはいつだっただろう?

 確か大学時代に付き合っていた彼氏と来たのが最後かもしれなかった。私はやはりプールは嫌だと言ったけれど押し切られたのだ。

 今日もヒカルに強引に連れて来られたけれど来てみれば意外とよかったのかもしれないと思った。

 ビーチボールを抱えて水の中でゆらゆらしているとヒカルがふざけて私に水をかけた。私もお返しに水をバシャバシャとひっかけた。

「たまには太陽の下ではしゃぐのも悪くないでしょ?」

 ヒカルは私の気持ちを見透かすように言った。

「うん。」

 確かに開放的な気分で私ははしゃいでいた。水着は気に入ったのが見つかったしたまにはアウトドアも悪くないと思った。

 ヒカルも鍛えた身体を見せたかったに違いなかった。

「きゃあ!」

 ヒカルが急にビーチボールを取ったので、顔を乗せてぼんやりしていた私はバランスを崩して沈みそうになった。

「やめてよ!もう!」

 頭から潜ってしまい顔もずぶ濡れになった私は文句を言った。ヒカルは大笑いしている。

 その後も何度もヒカルのいたずらでバランスを崩すたびヒカルは笑いながら私を救いあげた。

 ヒカルはどさくさに紛れて背中から私をハグした。

「寒くなってきた。」

 15時を過ぎていた。

「上がろうか。」

 プールを出て夕食を食べに行くことにした。
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