ディズニーランド(4)

文字数 593文字

 舞浜に着いた。人波に乗って改札を抜けてゲートまで歩いた。

「お願いがあるんだ。」

 チケット売場で並んで待っている時にヒカルが言った。

「何?」

 私は聞いた。

「今日一日。」

「今日一日?」

 私はおうむ返しで聞いた。

「今日一日、ほかのヤツの事考えないで思いっ切り楽しもう!俺、ミズキちゃんに楽しんでもらいたい。」

「うん。わかった。」

 私は素直に頷いた。

「知ってる?」

「何を?」

「ミズキちゃんの笑顔みてると、俺なんだかすごく楽しいんだ。」

 私はなんて言っていいかわからなくて黙っていた。

「だから今日はいっぱい笑ってね。スマイル、ミズキ。」

「スマイル。」

 私はお返しみたいに言いながらちょっと微笑んだ。

 かなり並んでやっと入場できた。のんびり適当に回りたい私とはしゃいでいるようななヒカル・・・微妙な温度差を感じる。

「どこいく?」

 私は聞いた。

「そうだ。」

 と言いながらヒカルはショップに入って行った。

「もうお土産?」

 私は後からついて入った。

「カメラ。買うの忘れてた。」

 ヒカルはカメラを買ってすぐに出てきた。

「さ、行こう。」

「うん。」

 私もヒカルと並んで歩き始めた。

「どこから行く?」

「とりあえずマウンテン系はすごく待ちそうだよね。」

 入場制限はかかっていなかったけれどパーク内はいまさらどこを見ても90分だの1120分待ちばかり。

 私は早くもうんざりしてきた。待ったり並んだりは大嫌いなのだ。
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