エデン(4)

文字数 526文字

 課長のどこが好きなんだろう?帰り道も課長の事ばかり考えていた。はじめは恐い印象しかなかったけどどうして好きになったんだろう?特に私好みという容姿でもないし。

 まあ細身で骨張った顎の骨格なんかは好き。あとはあのごく低い声。とにかくわからないけど大好き。

 そんな事を考えながら日比谷での用事を済ますと会社に戻った。

「まだ仕事してんの?」

 残業をしていると島田さんが声をかけてきた。

「最近、川村すごいやる気じゃん!いいから早く飲みに行こうぜ。」

 とても二児のパパとは思えない軽さで島田さんが言った。私はあまり乗り気ではなかった。

「坂井は行くって。岩崎も。」

「ナオ行くんですか?」

「うん。みんな川村待ち」

 (私行くって言ってないけどな。)

 とは思いつつ、いつもの事なので急いで片付ける。どうせこういう時は行く羽目になるのだ。

「課長は?いかない?」

 島田さんが課長を誘った。島田さんはこの前係長になった。歳は確か課長と同じ。2人は立場上は課長が上だがほとんど同期のようなものらしかった。

「俺は今日はちょっと用事があるんだ。」

 課長がそう断ったのを聞いて私はがっかりした。用事って?なんだろう?ただの方便?

 課長は本当に用事があったのか珍しく先に帰ってしまった。
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