心変わり(3)

文字数 694文字

 課長はいつからだろう?課長はいつから部下の私に女を見たの?

 私は・・・私は課長を男性として意識したことなんてなかった。かつては畏怖というに近い存在で今は敬愛している課長。

 その課長が私の中に女を見たのなら、課長の目が私を、そう、私が身にまとったものを一枚一枚剥いでいくなら喜んでこの身を捧げたい。

 この幼稚な私が課長に女として開発されるなら課長のやり方で女にしてほしい。課長のやり方で課長が愛する女になりたい。課長の色に染まりたい。

 まるで処女のように・・・有名な歌詞のようにそう願った。

 そんな風にして次第に課長を敬愛する師としてではなく男性として意識するようになっていった。

 カルトの信者が教祖の性欲のはけ口にされているのをテレビで見た時にはなんて愚かな女達だろうと思っていた。

 女達は蹂躙され食い物にされているのに気づかないで、それどころか神のように教祖を崇めているなんてナンセンス以外の何物でもないと思っていた。

 でも今の私はその軽蔑していた女たちと同じ。私は勘違いしていた。それは辱めではなかった。

 課長が私を女として求めるなら身を捧げる事はこの上ない歓喜なのだ。

 教祖に抱かれているとき教祖が感じているよりずっと大きな歓喜を享受しているは彼女たちの側なのだ、きっと。

 その行為は細胞のひとつひとつまで沸かせて彼女たちに強烈な女の喜びを与えるに違いない。

 畏怖し敬愛する存在の女になることは王に召されるような興奮がありその興奮が性愛の感度も高めるに違いない。

 会社帰りに日比谷公園でのデート、抱き合って何度もキスを重ねるうちに私は課長に抱かれる日を切望するようになっていった。
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