花火の夜(3)

文字数 417文字

 ヒカルは車を停めた。

「いいの?」

 と私に聞いた。私は頷いた。

「ミズキがまだ引っかかるなら俺待つよ。」

 ヒカルは言った。私はしばらく黙っていた。

 窓の外は激しい雨が降っている。

「本当言うと私、揺れてる。ヒカルに魅力を感じてる。ヒカルとそうなりたいとも思ってる。夢中になってるかもしれない。・・・彼がいなければ。」

 課長のことはタブーだった。だから最後は口ごもった。

「・・・ヒカルを好きになり始めてる。でも課長への思いをすぐに終わりにする事は出来ないの。ずるいと思う。ヒカルに悪いと思う。それでもいい?そんな私でも抱ける?」

 私はヒカルに自分の気持ちを伝えた。

「ミズキが嫌じゃないなら俺はミズキが欲しい。ミズキを抱きたい。揺れててもいい。俺のために無理してるんじゃないなら。すぐにあの人を忘れてくれとは言わない。」

 ヒカルはシートベルトを外して私にキスした。それから私のシートベルトも外した。

「行こう。」

 ヒカルが私の腕を取って言った。
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