Sweet September(2)

文字数 734文字

 そんなある土曜出勤の帰りのランチでの事。帰り際ナオが私に耳打ちして

「ねえ、やっぱり課長とデートして帰るんでしょ?」

 とちょっと含みのある聞き方をした。私が曖昧に

「う・・・ん。」

 と答えると今度は課長にも聞こえる声で言った。

「私はそろそろ行きます。邪魔者は消えますからあとはお2人でごゆっくり。」

 微かに笑いながら言って席を立った。私はナオを追っていった。

「課長の事好きになっちゃった。」

 ナオを捕まえて私は言った。

「いつかそうなると思ってた。」

 笑いながらナオは言った。

「じゃあ、ご・ゆ・っ・く・り。」

「そんなゆっくりはしないよ。もう少しだけ・・・」

「じゃあね。」

 ナオは去って私は席に戻った。

「ナオに課長の事好きになっちゃったって言っちゃった。私。」

 席に戻ると課長にそう言った。

「坂井はもう俺達の事知ってるんだろ?」

 と課長が聞いてきた。

「私はあえて言ってないけど気づいてるみたい。」

 私は答えた。課長はそれについてはそれ以上何も話さなかった。

「なあ?」

 しばらく黙っていた課長が口を開いた。

「はい?」

 窓の外に目を向けていた私は課長の方を向き直った。

「まだはっきりはしないけど。」

 前置きをしてから課長が言った。

「来週の土曜日、泊まれるかもしれない。」

「本当!?」

 顔が輝いたのが自分でもわかる気がした。課長は

「直前にならないとはっきり言えないけど多分大丈夫。ただ次の日午前中には帰らないとまずいから旅行は無理だよ。」

 と釘を刺すように言った。

「うん!うん!」

 私はワクワクして言った。

「デートらしいデートしようぜ。」

「うん。うれしい!」

 課長は私の服装をみて

「オシャレして来いよ。ジーンズはダメだぞ。スカートはいてこい。」

 と言った。私は何度も大きく頷いた。
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