真夏の夜(3)

文字数 340文字

 日比谷公園はカップルでいっぱいだ。ましてこの真夏の熱帯夜ともなれば。

 肌にまとわりつく熱気は昼間の熱射の名残なのかベンチで繰り広げられている事の熱気なのか。

 私ももうこの人たちと同じ。

 あいたベンチに座るとすぐに課長は私にキスをした。課長にされなかったら私からキスしていたと思う。それはごく自然で原始的な欲望だった。

 夢中でキスをした。

 好き。好き。好き。

 どきどきする胸は壊れてしまいそう。

 課長が好き。

 有楽町のホームを駆け抜けてからなんだかずっと走っているみたい。気持ちはずっと駆けて、駆けて、駆けて。

 ノンストップでバクバクしてる。止まらない。止められない。まるで化学反応のように突然で激しく自然の摂理のように抗いがたい力に飲み込まれていくよう。

 何も考えられなかった。
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