台風(3)

文字数 460文字

「もしもし?」

 10回近くコールをならしても出ないから切ろうとしたところへ電話がつながった。

「・・・」

 無音。留守電かと思ったが

「・・・も・・・」

「・・・ん・・・もしもし・・・」

「・・・」

 グーグーと寝息が聞こえてきた。可笑しくて笑ってしまった。

「おやすみ。」

 私は電話を切った。

 翌日デリバリーから戻るとカウンターにヒカルがまた来ていてナオと喋っていた。

「2人でディズニーランド行ったんだって?」

 ナオに聞かれた。

「ああそうだ。毎日お土産渡そう、渡そうと思って忘れてたよ。後で渡すから。」

 私は言った。

「全くいつの間に。」

 ナオは言った。

「じゃあね。」

 ナオはヒカルに言って裏に戻った。

「ミズキ、この間は悪かった。ごめん。」

 ヒカルは言った。

「私まだ怒ってるからね。」

 私はちょっと怒ってみせた。

「ところで昨日の夜もしかして電話くれた?」

「したよ。寝ぼけてたよ。面白かった。」

「やっぱりそうか。朝起きてから夢だったのか本当だったかわかんなくなって。かけてくれたんだ。」

 ヒカルはホッとしたような嬉しそうな言い方をした。
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