皮肉な成り行き(8)
文字数 583文字
「私ね、銀座じゃなくて新宿に異動になるの。」
発表があってからすぐ異動だった。
カウンターに私の姿が見えなくなればいずれはヒカルに聞かれる。聞かれる前に異動の話はしておくべきだと思った。
「せっかくすぐ近くだったのに。」
ヒカルは無邪気に言った。
「新宿ってどの辺?」
「三丁目。花園神社の方。」
私は答えた。
「結構JRから離れてるね。どうやって通うの?」
ヒカルは聞いた。
「東京から丸の内線にしようかと思ってる。」
私は言った。
「なぁんだ、せっかく近くでカウンターにも寄ってみたり出来たのに。金曜日のデートも遠くなっちゃうね。」
ヒカルは子供みたいな表情で言った。
「うん。でも遠距離恋愛って訳でもないし週末はずっと一緒にいられるんだし。」
私はなだめるように言った。
「そうだね。」
ヒカルはにっこりした。
この時はこれで済んだのだ。
問題なのはヒカルではなく自分だと言う事に私は気づいた。また毎日課長と顔を合わせる日々が始まった。
新宿支店は寄せ集め人員だったからスタート時点ではきちんと体制も整っていなかった。
私は本橋さんという課長の下で団体セールスグループに配属しながらも原田課長の他、数名のインディビの仕事の補佐した。
課長以外にも同期の中沢ヒロキもインディビ担当だったから課長の仕事だけを特別にしていた訳ではない。でもやはり課長の仕事を補佐するのは嬉しかった。
発表があってからすぐ異動だった。
カウンターに私の姿が見えなくなればいずれはヒカルに聞かれる。聞かれる前に異動の話はしておくべきだと思った。
「せっかくすぐ近くだったのに。」
ヒカルは無邪気に言った。
「新宿ってどの辺?」
「三丁目。花園神社の方。」
私は答えた。
「結構JRから離れてるね。どうやって通うの?」
ヒカルは聞いた。
「東京から丸の内線にしようかと思ってる。」
私は言った。
「なぁんだ、せっかく近くでカウンターにも寄ってみたり出来たのに。金曜日のデートも遠くなっちゃうね。」
ヒカルは子供みたいな表情で言った。
「うん。でも遠距離恋愛って訳でもないし週末はずっと一緒にいられるんだし。」
私はなだめるように言った。
「そうだね。」
ヒカルはにっこりした。
この時はこれで済んだのだ。
問題なのはヒカルではなく自分だと言う事に私は気づいた。また毎日課長と顔を合わせる日々が始まった。
新宿支店は寄せ集め人員だったからスタート時点ではきちんと体制も整っていなかった。
私は本橋さんという課長の下で団体セールスグループに配属しながらも原田課長の他、数名のインディビの仕事の補佐した。
課長以外にも同期の中沢ヒロキもインディビ担当だったから課長の仕事だけを特別にしていた訳ではない。でもやはり課長の仕事を補佐するのは嬉しかった。