追い討ち(6)

文字数 331文字

 帰りの電車の中でも感情を抑える事ができなかった。涙がこぼれそうになるので慌てて上を向いた。それでも視界がぼやけてついには頬に溢れてしまう。

 嗚咽を押し殺し下を向いてハンカチでおさえた。次々と溢れてくる涙。

 (もうわかんなくなっちゃった。もうダメかもしれない。自信ない・・・)

 こらえきれず上を向いて目をぱちぱちとさせた。そのまま私は固まった。

 (え!)

 目に入ってきたものが信じられなかった。こんなドラマみたいな偶然があるのか。自分の見ているものは現実なのか?

 目の前に早川さんがいた。

 私の涙目と早川さんの目があった。スローモーションの途中で止まってしまったようだった。

 早川さんの目がまず私との再会に驚き、次の瞬間私の涙に反応して表情を変えたのがわかった。
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