Epilogue(1)

文字数 615文字

「時間大丈夫?」

私はナオに聞いた。半年ぶりの再会だった。会社にいた時のランチを思い出していた。

「まだ平気。ミズキのダーリンに会ってから行くよ。」

ナオはこの後彼氏とデートだ。私とナオはヒカルを待っていた。ヒカルがナオにも報告したいと言ったのだ。

「彼が来ないうち言うけど課長、子供出来たんだって。」

ナオが言った。

「え・・・」

私が瞬時に思った事と同じ反応がナオにもあったらしい。

「まったく。ミズキと別れた途端に出来るなんてね。みんな無駄遣いしなくなったからだって言ってる。全く・・・」

ナオは笑いながら言った。私も笑った。笑いながら胸がきゅうっと軋むように傷んだ。そして同時に少しほっとした。

ヒカルが約束に遅れてやってきた。

「お久しぶりです。」

ヒカルが言った。

「おー、ワタナベヒカルくん、久しぶりー」

ナオが言って私たちを改めて眺めた。

「函館ではまさかこんな風になるとは思わなかったよ。」

ナオが言った。

「坂井さん、俺達入籍したんだ。」

ヒカルが言った。

ナオはヒカルと私の顔を交互に見て

「おめでとう!やだー、早く言ってよ!よかったじゃん。」

と言った。

「結婚式はまだしないんだけど今一緒に住んでるの。」

私は言った。

「わお!ミズキってホントに・・・」

私はヒカルにもたれかかった。

ナオは呆れたような顔で吹き出した。

「もう行くわ。勝手に2人でやっちゃって。またね、ミズキ。ワタナベくんも。バイバイ!」

「バイバイ。」

ナオは有楽町駅へ向かって歩いて行った。
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