暗雲(3)

文字数 764文字

「明日、出かけない?」

「うーん。」

「彼氏いるの?」

「うーん、いない。嘘。やっぱりいる。」

「何それ?全然わかんないし。」

「いいの。わかんなくて。」

「よくないよ。」

「それについては今は話したくない。」

「わかった。聞かない。明日来てくれるなら。」

「もう・・・」

「彼氏と会わないなら明日は俺とどこかいこうよ。」

「うーん」

「ね、どこ行こうか?行きたいとこある?」

「ない。」

「また出た!ネエさんお得意のバッサリ」

「もう!もう一回でもネエさんって言ったら絶対いかないからね!」

「わかったよ。もう絶対にネエさんって言わないから必ず行くって約束して。」

「なんでそんな約束しなきゃいけないのよ。」

「なんでかって言うと俺が来てほしいから。そうだ、ディズニーランドにしよ。」

「えー?いきなりディズニーランドはないでしょ。カップルでもあるまいし。」

「いいじゃん。カップルになるかもしれないんだから。」

「なりません。」

「わかんないでしょ?そんなこと。」

「わかります。」

「ネエさ・・・いや、ミズキちゃんだって俺の魅力にハマるかもしれないじゃん!」

「はまりません!」

「嫌い?俺のこと?」

「嫌いも何も、ほとんど知らないでしょ。」

「だからこそ知り合うんだよ。」

「うーん。」

「電車でいい?」

「まだ行くとは言ってないけど。」

「どこだっけ?」

 ことごとく私の受け答えは無視されて渡辺 輝のペースに乗せられた。私も「まあいいか」的な気分になってきた。

「京葉線なら新習志野かな。」

「じゃあ新習志野の改札の中にいるよ。8時半ね。」

「早いよ!」

「だってディズニーランドに行くんだよ。全然早くないよ。」

「せめて9時にして。」

「わかった。じゃ9時に改札の中ね。」

「うん。」

「絶対だよ。絶対来てね。」

「わかった。行くよ。じゃあね。」

「やった!じゃあね。おやすみ。」

「おやすみなさい。」
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