花火の夜(4)

文字数 330文字

「雨止んだかな?」

 私は独り言をつぶやくみたいにヒカルに話しかけた。室内は外の様子は見えないし音も全く聞こえなかった。

「ん?」

 私の隣で仰向けになっていたヒカルが私の方に身体を起こした。

「ううん、雨やんだかなぁって。」

 ヒカルは私のフェイスラインにかかった髪を撫で耳に触った。

「どうだろうな?止んでるといいな。」

 ヒカルは言った。どのくらい時間が経ったのかわからなかった。

「ミズキ。」

 腹ばいで肘をついていた私の髪を撫でながらヒカルが言った。

「やっぱりあいつとはもう寝ないで。」

 ズキンと胸が痛んだ。自分がヒカルに与えているダメージを思った。

「ごめんね・・・」

 私は言った。

「わかってる。もう寝ない。ごめんね、ヒカル。」

 ヒカルの唇が私のうなじにそっと触れた。
ワンクリックで応援できます。
(ログインが必要です)

登場人物紹介

登場人物はありません

ビューワー設定

文字サイズ
  • 特大
背景色
  • 生成り
  • 水色
フォント
  • 明朝
  • ゴシック
組み方向
  • 横組み
  • 縦組み