函館(1)

文字数 699文字

 横浜支店が募集した函館3日間のツアーが集客不足だった事もあって私たち同期女子の4人が参加する事になった。

 課長との恋は辛くなっていた。私は無邪気に気分転換をしたかった。一応スキーツアーだったので私とナオはスキーもした。

 上級者向けコースではなかったから私のようなボーゲンレベルの者にとっては景色を楽しむ余裕もあって最高のリフレッシュになった。

 ツアーは横浜支店の石田さんという先輩が添乗していた。その関係で石田さんの学生時代の後輩の男子もツアーに参加していた。

 バスでの移動の間にこのグループから何かとちょっかいを出されているうちだんだん仲良くなってきた。

 1日目は夕食後ロープウェイで山へ登って夜景をみたあとはホテルに戻ってフリーだった。

 石田さんは私たちと彼の後輩グループと他にも希望した数名の客を連れてホテル近くの飲み屋に行った。

 そこは団体客が入るような店ではなく、こじんまりとしていて観光客と地元の人が混在するような店だった。

 横浜支店とは業務上の繋がりが薄く石田さんのことはほとんど知らなかった。この添乗中は物静かで落ち着いたしっかりした先輩といった印象だった。

 私とそれほど年齢は変わらないらしい。それでもさすがにカラオケとなれば添乗員らしく盛り上げ方が上手かった。

 昼間から石田さんの後輩の1人がずっとサトミにモーションかけていた。サトミのほうもまんざらではない様子。

 旅行に来たのも彼氏の浮気が発覚して悩んでいた時で、私と同じく気分転換に来る事にしたと言っていた。

 サトミは確かに気分転換している様子だった。上手く言えないけれど間に入っていきづらい親密な空気を2人で作っていた。
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