Sweet September(6)

文字数 734文字

 軽く飲んだ後居酒屋を出ると酔い醒ましに夜の街を散歩した。バーでもう一杯飲む事にした。まだ19時台だ。

 課長はスコッチのソーダ割を、私はダイキリを飲んでいた。

「ありがとう。」

 私は課長に言った。

「こんな時間を作ってくれて。」

 私は課長の骨張った指に触れた。

「好き。」

 独り言のようにつぶやく。

「好き。大好き。」

 課長は黙って私が課長の指に自分の指を絡めるのを見ていた。私は課長の薬指に光る指輪をそっと指先でなぞった。

 課長がやがて口を開いた。

「いつのまにかお前がかわいくてたまらなくなったんだ。抑えようとしたけれどかわいくてたまらない。抑えられないんだ。」

 あのとても低い声で熱く言った。

「かわいくてかわいくてしかたがない。」

 そう言うと私の手をぎゅっと握った。

「もう我慢できないよ。」

 バーを出て道玄坂を歩いた。そして横道を折れてホテル街に入った。とうとう課長と結ばれる。期待と興奮と不安で震えそうだ。

 満室ばかりだった。私の体は欲しくて欲しくて疼いていた。やっと綺麗そうな空室を見つけて部屋に入った。

 部屋に入るなり課長は抑えていたものを噴出するようにキスをした。私もすぐに夢中になった。

 課長の手が夢想ではなく本当に私を一枚一枚裸にしていった。少しずつ脱がされながら首にうなじに背中にそっと唇が触れる。

 それだけで私には立っていられなくなるほどの快感が押し寄せた。

「あああ・・・」

 思わず両手で自分の髪をかきあげてわずかにのけぞった。課長が背中から私を抱いた。体中が敏感の極みのようになり気持ちよ過ぎて鳥肌が立った。快感で頭が真っ白になりそうだ。

「課長が欲しい。欲しい。欲しい。早くちょうだい。」

 私は体の中心で熱を持ってだだをこねる身を持て余しながらせがんだ。

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