第40話

文字数 2,535文字


源三郎江戸日記(弟五部)40

何を言われますかさあ上座にと言うと、そうかと言って上座に座ったので、お久しぶりでした、お元気そうで何よりです、ここに控えていますのは元米沢藩、上杉家中の者ですと言う、
と、おうみんな元気そうで何よりじあと声をかけると、みんなが平伏したのです、ここにいますのは戸田一刀斉殿の娘エミに御座いますと言うと、おう、小太刀の名手じあなそなたは、
源三郎の側室だそうじあなと言うので、

エミが高鍋での午前試合以来で御座ります、お懐かしゅう御座いますと言ったのです、色々と話したい事があるので、いつもの料理屋で、一献傾けようと言うので、お待ちしていますと、
言うと、どこに逗留するのじあと聞くので、諸国巡察視の役目なれば旅籠に逗留します、この者達の親族もおりますので3日間の逗留予定に御座いますと言うと、そうじあな、ゆつくりと、
巡察してくれと言ったのです、

御座所を下がり千坂兵部の御用部屋に行くと、これはご老中わざわざの足のお運びいたみいりますと言うので、どうで御座りますかと聞くと、総て順調に御座います、もうそろそろ隠居、
と思うているのですが、殿が中々許してくださりませぬと言うので、それは死ぬまで現役で御座りますなと言うと、まあ、隠居してもやる事がないので良いので御座ります、若い者を育、
てておりますが、

中々上手くいきませぬ、藩が裕福になると藩士の子供は軟弱になりますと笑ったのです、宗憲様はどうで御座るかと聞くと、病弱の為剣などの修行は無理で御座る、弟の宗房殿も同じく、
病弱に御座りますと言うので、それでは取り巻きをしっかり教育する必要がありますなと言うと、このままいけば、殿がお隠れになるとまたぞや一門がでしゃばる恐れがありますので頭、
の痛いところですと言ったのです、

城を出て旅籠に宿をとり、そなた達は両親か親類の家に逗留せよというと、承知しましたとそれぞれに旅籠を出て行ったのです、それでは2人で巡察にでようと町に出たのです、まずは、
玄海屋によると、番頭がおつきになりましたかと言うので、物産の方はどうだと聞くと、ハイ、陶器、米沢織、人形、乾し梅、梅酒も商いが増えていますと言うので、それは結構な事じ、
あなと言うと、

代変わりが必要と言う事で、それぞれに息子様に物産方を仕切らされているようですと言うので、そうかみんなもう良い年じあな、わしとは二回りも違うからのう、ご苦労な事であった、
後で様子を見に行こうというと、大喜びなされますよと言ったのです、そうじあ、エミ、米沢織でも土産に買うが良い、みんなの分も見立てて選んでくれ、わしは物産会所に顔を出して、
来ると言うと、

わかりましたとエミが言うと、番頭がこちらにと店に案内したのです、源三郎は物産会所に顔を出すと、米沢源才がこれはご老中久しぶりでしたと言うので、みんな息災かと聞くと、ハイ、
代変わりに訓練していますと、織部と桑山に自分の息子を紹介したので、まあ、あせらずゆつくりとやる事じあと言ったのです、織部、桑山も駆けつけたので、それでは一献行こうと町の、
居酒屋に入り杯を傾けたのです、

みんなの様子を聞いて、重畳じあな、米沢の冬は厳しいじあろう、隠居して深川に来いと言うと、ハイ、修練を見極めましたら三人で移り住みますと言うので、夫婦そろって来い、深川に、
住む場所を玄海屋に探させるぞと言うと、有難う御座ります、もう、一踏ん張りしますと喜んだのです、暫く歓談して玄海屋に戻り、どうだ選んだかと聞くとハイ、みんなの分を選びまし、
たと言うので、

代金は預けてある中から引いてくれと言うと、承知しましたと番頭が言ったのです、エミがこんな贅沢して宜しいのですかと言うので、いいのじあよわしは金持ちなのじあと笑うと、番頭、
がこれ位では預かり金は少しも減りませんよ、七衛門の旦那が早く開国してくれないかな、開国になればメリケン、エゲレスと商いをするのじあがと、この前も、江戸に行ったら言われて、
いましたと言うので、

わし達が生きている内には無理じあな、後100年は掛かるじあろうと言ったのです、それではいきつけの料理屋に行こうと言ってノレンを潜ると、女将がご老中様お戻りなされませと言って、
座敷に案内したので、わしの側室のエミじあと言うと、こんな遠いところまでようおいでくだされましたと言うので、よろしゅうになとエミが言ったのです、殿も後でみえられると言うと、
それは久しぶりにございますなあと言って、

今日は海の物が沢山入っていますと言うので、こんな山奥に海のものが、あるのですかと聞くと、ハイ、ご老中様の知恵で海の魚を生きたまま、この米沢に運んでくるのですよ、と言うと、
それは凄いですねと言って、殿には出来ない事はないのですねと言うので、あるぞ1人では子供は作れぬじあろうと言うと、それはわたしが手伝いますと笑ったのです、女将が今や川越、
8万石のお大名で、

幕府のご老中におなりとか、大層のご出世に御座りますなあと言うので、お陰で上様にこき使われているわけじあよと言うと、あいかわらず、ご出世は喜ばれないのですねと笑ったのです、
まずはと言って、酒といわしの丸干しを出したので、本当だ久しぶりですねとエミも喜んだのです、女将が酌をするので2人で杯を重ねると、冬に雪で覆われる等想像出来ませぬとエミが、
言うので、

そなたは西国の生れじあから、雪などみた事がないじあろうというと、長く江戸にいましたから雪は見ておりますよと言うので、そうであった、江戸も雪はふるからのうと言うと、でも、
直ぐに消えてなくなりますが、ここは冬の間中積っているのでしょうと言うので、山も含めて一面の雪景色になり、その風情もまた良いものじあよと言うと、西国生れの治憲様は大変な、
事ですねと言ったのです、

女将がご老中が炬燵をお殿様の為にお作りになりましたので、ぬくぬくと過ごされているそうですと言うと、あんな、軟弱な者に入られているのですかと聞くので、風をこじらせて労咳、
になるよりましじあろと言うと、そうですが、殿も江戸でお入りになるのですかと聞くので、勿論じあよと言うと、父上が聞いたら源三郎目め修行が足りぬのうと笑われますというので、
そんな事はないぞ、

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