第2話

文字数 2,682文字


源三郎江戸日記(弟五部)2

間部は源三郎の御用部屋に行き、ことのあらましを話して、紀州公が辞退なされている以上尾張公と言う事になりますが、村上殿よりもう一度確認してくだされ、老中は村上殿に一任いた、
しますと言うので、それは困りましたな、どちらに決まっても恨みはなしですよと言うと、勿論不服はいいませぬと言うので、承知しましたお二人に聞いてみましょうと承諾したのです、

間部が部屋を出て行くと、井上が入って来て、間部は慌てているようですな、紀州公になればうとんじられるとして必死にござるよと言うと、代変わりになれば側近は総取替えが当たり、
前に御座る、あの柳沢様すら隠居を願いでられたのです、そうすればお家まで潰される事はありませぬと言うと、その覚悟等間部と井伊にあるわけはない、それがしは直ぐにお役ごめん、
願いを出しますると言ったのです、

源三郎がわしもそろそろ引退したいもので御座ると言うと、引退したらどうなされると聞くので、治世に専念して川越に引っ込みますと言ったのです、しかたない、説得に行きますかな、
と言うと、どちらをですかと聞くと、まずは紀州公の辞退を取り下げさせて、天英院様と月光院様の意見を一つにしていたたけば良いでしょう、大奥の権勢争いを将軍後継の取引材料に、
使う等もっての他ですと言ったのです、

井上殿の領地は常陸笠間で御座いましたな領地はどうで御座るかと聞くと、我が藩も財政は逼迫しております、こんど巡察に行き指南してくだされと言うので、次は北になるでしょう、
おりがあれば領内を見てきましょうと言ったのです、城を下がり尾張藩上屋敷に行くと継友が出てきて、前回は世話になった、将軍後継は大変じあなと言うので、継友様に決まればお、
受けくださるでしょうな、

又紀州公に決まっても遺恨なしですぞと言うと、勿論我が藩は後継問題には口は挟まないのが決まりじあからな、家老共は何やらやっているようじあが、幕府に働きかけてもせんない事、
じあ、今回は天英院様と月光院様の意向で決めれば良いではないかと言ったのです、傍にいた宗春が吉宗公が将軍になられても異存ありませぬが、間違った治世には異は唱えますぞと言、
うので、

勿論で御座います、人間だれしも間違いはあります、将軍となれば大きな権力を手にします、それに群がる魑魅魍魎な、連中も増える事でしょうと言うと、今後も村上殿はそのやからを、
押さえてくだされと言うので、いつまでも幕閣にいると言う保障はできませぬので分かりませぬがと言うと、わたしは村上殿に、更正させられたので御座る、民の為にはこの命投げ出す、
つもりですと言うので、

ご覚悟ご立派にござります、今天英院様と月光院様の意見が別れていますと言うと、今後の大奥の主導権争いと言うところでしょう、困ったもんですなと継友が言うので、大奥はそれが、
し達のおよびもつかない場所にございます、これにて失礼しますが決まれば辞退はなりませんぞと言うと屋敷を出て紀州藩上屋敷に行き吉宗と面談すると、そろそろ来るころじあと思う、
ていたと笑うので、

将軍辞退等見え透いた芝居はおやめなされと言うと、わしは尾張殿が最適じあと思うているのじあよと言うので、将軍の指名は老中ではなく天英院様と月光院様が両方推挙なされない、
なら辞退すると言う意味に御座いますな、又なった場合御三家が異をとなえて治世の邪魔をせぬようにと言う腹でしょうと言うと、そなたには隠し事は出来ないな、わしは色々策略を、
めぐらすのは嫌いなのじあ、

後からわしの将軍には反対した等と、触れて回わられると腹が立つであろうと言うので、将軍は天下人です良く言われる訳はありませぬ、厭な事も決断しなければなりませぬ、紀州藩を、
まとめるのにも大変で御座りましたでしょう、将軍になれば64州をまとめねばなりません、簡単にはまとまりませぬ、幕閣の中をまとめるだけでも、多くの気苦労をしなければなりませ、
ぬと言うと、

ほんにそうじあな、紀州藩がやっとまとまったのに、又苦労するかと思うと気がめいるのうと言うので、決まれば天命でござります、泣き言はそれがしに言なされと言うと、そうか泣き、
事を聞いてくれるのか、それなら辞退は引っ込めようと言うので、それで、宜しいのです、何事も天命のままにで御座いますと言うと、わしが将軍になったら、そなたは、一生こき使っ、
てやるから泣き言を言うなよと笑うので、

それはやめてくだされ、いままで十分に、幕府の為につくしましたと言うと、そうはいかん、将軍をわしに押し付けたら、そなたも道ずれじあと、笑ったのです、藪ヘビですかと言うと、
少しは休ませてやるぞと言ったのです、それでは天英院様と月光院様の意見をまとめますと言って、屋敷を辞して城に戻り、まずは天英院様と面談して、紀州公を押しておられるそうで、
すがと切りだすと、

源三郎じあから本音を明かすが、尾張、紀州どちらでも良いのじあが、大奥を触られるのが厭なのじあと言うので、大奥の女中の顔を全員知っておられるのですかと聞くと、知るはずは、
なかろう、知っているのは年寄りくらいじあと言うので、何人でございますかと聞くと、まあ20人じあろうと言うので、たったそれだけをかしずかせるのが嬉しいのですかと聞くと、
何が言いたのじあと聞くので、

本来大奥を取仕切るのは将軍の正室と決まっています、代変わりになっても口ばしをいれるべきではありませぬ、十分な化粧料が貰えれば良いではありませぬかと言うと、その取り分で、
もめるのじあろうと言うので、いままでの化粧料を差し上げますので、お城を出られて浜御殿にお移り下されというと、なる程うるさい姑はいない方が上手く行くと言う事じあなと笑っ、
て、

他の者がそれを言えば怒るところじあが、源三郎が言うても腹はたたんな、わかったぞえ、浜御殿に移ろう、してだれを選べば良いのじあと言うので、それは天英院様の意のままにと言、
うと、なんじあ化粧料と引き換えではないのかと言うので、外に出られる天英院様がお選びになるのは、大奥の権勢を手中にする為ではなく、公平に選ばれたとみなは思うでしょうと言、
うと、

なる程そうじあな中々に良い事じあなと言って、ならば紀州吉宗殿で良いじあろう、母親は下賎の出なので苦労したと聞く、そのような苦労をしておれば下々の事にも目が届くであろう、
と言ったので、承知しました、それでいか程の人数と化粧料をお望みでと聞くと、もう歳じあ、年5000両の化粧両に見合う人数で良いと言うので承知致しました、その儀は間違いなく、
お引き受けいたしますと言うと、

ワンクリックで応援できます。
(ログインが必要です)

登場人物紹介

登場人物はありません

ビューワー設定

文字サイズ
  • 特大
背景色
  • 生成り
  • 水色
フォント
  • 明朝
  • ゴシック
組み方向
  • 横組み
  • 縦組み