第50話

文字数 2,699文字


源三郎江戸日記(弟五部)50

それは朝までかかるじあろうというと、ハイ、ゆつくり探索します、と笑ったのです、ところで宗憲と新之助は空蝉の術をなんと言うていたのじあと聞くと、愕いていましたと言うので、
のめり込ませるなよと言うと、承知しましたと傍を離れたのです、ところでお良と霞は何を買ったのじあとエミに聞くと、やはり女でしたよ、小袖と簪を買うといいましたので、見立て、
てやりましたら、

喜んでいましたよと言うので、良い男でも見つけて子供でも作ればよいなというと、小袖に腕を通すなんて初めてだそうです、とても喜んでいましたよと言ったのです、2人の両親はと、
聞くと、吉宗様襲撃で死んだそうですと言うので、そうか、それは気の毒な事をしたと言うと、殿の事は恨んではいないそうです、果し合いを見ていたそうですが、とても風間の忍びが、
勝てる相手ではないし、

幕府の重役なのにえらぶった所もなく、風間の者達にも情けをかけてくださり感謝しているそうです、蝦夷に行ったら、第二の風間の里を作り、知り合いを呼びたいと言っておりました、
と言うので、そうか、みんなが希望を持ってくれて、良かったよと酒を飲み干したのです、それでは町を見て旅籠にかえるかと居酒屋を出て歩くと、エミが意外に鉄物を商っている店は、
ありませぬなあと言うので、

旅人が少ないので土産物屋がはやらないのでないのじあろうと言うと、ありましたと言うので入ってみる事にしてノレンを潜ると、いらっしやいませというので、見さしてもらうぞと言、
うと、ゆつくりみて下さいと茶を出すので、この鉄は海側の砂鉄かと聞くと、そうです、なぜ鉄瓶しかないのじあと聞くと、ありますよ、店には並べてないだけで、言うって貰えば、
作りますと言うので、

ここで作っているのかと聞くと、ハイ、裏でおとっさんが作っています、いまは病でつくれませんが、後二月もすれば作れるように、なりますと言うので、そうか、注文を受けて作るのか、
と言うと、売れないと材料費が勿体無いのですと笑ったのです、店にごめんよと1人の男が入って来て、これはお客さんですか、おかねさん又出直してきますと言うので、わし達に遠慮す、
るなと言うと、

娘が借金の事ですねと言うので、そうだけど、おとっさんの具合はと聞くので、後二月もすれば仕事が出来ますが、50両の大金は一度には返せませんと言うので、しかし、治療代が随分、
かかったねと言うと、朝鮮人参は高いので仕方ありませんと言うので、50両の事だが元気になったら毎月少しづつ返せはよいよ、利息は無しで良いからねと言うと、宜しいのですかと、
言うと、

困った時はお互い様だよ、へんな金貸しから借りなくて良かった、これからも何かあれば言いなさいというので、済みませぬと頭を下げたのです、源三郎がそなたはこの城下の商人かと聞、
くと、ハイ、時津屋膳衛門と申しまして、米、味噌、醤油、酒、青物の問屋をやっていますと言うので、中々木徳な者のようじあなと言うと、そんな事はありませんよと言うので、わしは、
諸国巡察視の村上源三郎と申すと言うと、

え~つ、それではご老中様ですかと平伏しょうとするので、これ、これ、手を上げなさいというと、ご巡察ご苦労さまで御座いますと言うので、そなたを見込んで頼みがあるのじあがと言、
うと、何なりと申しつけくださいと言うと、おかねがここでは何ですからお上がり下さいと言うので、座敷に上がり、おかねおとっさんはここに来れるかと聞くと、ハイ、近頃は歩く練習、
をしていますと言って、

呼びに行くと、奥から政吉と申します、このような身なりで、すみませんと言うので、構わん、足は崩してよいぞと言って、南部は鉄製品が名産と聞いたが、城下ではあまり見かけぬがと、
言うと、ほとんどが注文して、作りますので、店に並べているのは手前くらいのもんですと言うので、南部の鉄は不純物が少なく、体にも良いと聞く、ここの鉄製品を江戸で売れないかな、
時津屋と言うと、

ここから江戸に、運ぶのには運賃をいれると、高くなり売れないと思います、せいぜい伊達様や津軽様、蝦夷くらいのものですと言うので、玄海屋と言う廻船問屋は蝦夷から江戸、大阪に、
物産を運び商っている、その船に乗せれば船賃は、タダみたいなものだ、ここより少し高いだけで売れるぞ、鍋、釜、鉄瓶だけでなく、串焼き、うなぎ焼のこのような鉄の長い箱があれば、
七輪より沢山焼けるので、

居酒屋の多い江戸では需要が沢山あるし、玄海屋は蝦夷から宮古、仙台と全国に出店をもっており、船を20隻もち行きかっておる、それに載せて全国で商えば数は沢山出るぞ、政吉そなた、
は鉄製品会所と言う、工房を作り、職人を使って沢山作れるようにして、作ったものは鉄正と言う、刻印を押すのだ、玄海屋は大名屋敷にも顔が広いので、これは繁盛するぞ、そなたが作、
り、

時津屋がいってに引き受けて、玄海屋へ卸す、玄海屋は全国の出店で商うのだよ、その鉄製品会所を作る金寸として、そなたに5000両を、下げ渡そうと言うと、そんな大金は返せません、
と言うので、返すに及ばず、玄海屋は江戸、大阪、長崎など天領地で商っており、多くの冥加金を、幕府に納めている、これが増えれば幕府へ、納める冥加金が増えるので、元が取れる、
わけじあよ、

売値はお互いが儲かるように決めれば良い、そのうちに鉄正の製品が有名になると言う訳じあよ、さらに、製品に稲穂を落とす機械、簡単に耕せる大八車に鋤をつけた装置を作り、商いと、
せよと、構造を書いて教えると、目が点になっています、鉄製品ばかりでなく、鉄を使った製品も作るのじあ、大工を雇えば簡単じあぞと言うと、時津屋がこれは面白いですと膝を打ち、
ぜひやらせて下さいと言うと、

政吉も名前をを鉄正に変えて良い製品を作りますと言うので、ところで、何の病なのだと聞くと、かっけだそうですと言うので、お前は野菜は嫌いじあろう、飯は沢山たべるが飯にたくわん、
味噌汁を毎日食うているとかっけになる、栄養が偏るわけじあ、朝鮮人参には多くの滋養の元が入っているので治ったのじあ、これからは野菜特に人参、ダイコン、ほうれんそう等を一緒に、
食えば治る、

一番いいのは米ぬかに沢山含まれている、米ぬかだけでは食えぬので、薩摩芋と混ぜ合わせて団子を作り、これを油であげれば、朝鮮人参より効き目があると話すと、おとつさんだから言っ、
たでしょう、やつぱり米だけ食うと病気になるのですねとおかねが言ったのです、おかねうなぎを二匹、イモ、砂糖、醤油、酒、酢を用意してくれと、2分を渡すと、ハイ、買うてきます、
と言って店を出たのです、

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