第114話

文字数 2,960文字


江戸日記(弟五部)114

その頃内務大臣の屋敷に、晩餐会の様子を聞きつけた強圧政治の一派が集まり、内務大臣を辞任されるとか、あの東洋の猿は許せません、このままにすれば、我々の植民地での権利は、
なくなってしまいます、あの猿を始末しましょうとみんなが言うと、そんな事やればここに集まった者達は、死罪になるぞと言うと、ここではなく、長崎に着く前にやれば良いのです、

上海でオランダ船に乗りかえるはずです、船上で襲い奴を海に放り込み、金貨は総て取り上げれば良いのですと言うと、上海までは4ケ月はかかるぞと言うと、奴はアメリカに立ち寄、
ると言っていました、6ケ月はかかるでしょうと言うと、大勢では怪しまれると言うと、ダニエル子爵が今回は負けた私の責任です、負けた罰として長崎に赴任させられた事にすれば、
怪しまれないでしょう、

上海で偶然一緒になった事にしますと言うと、おまえはまずい、奴が遭難をすればおまえが真っ先に疑われる、デイック男爵そなたに頼みたいがと言うと、承知しましたと言うので
生かしておけば我々の強圧政治を、交易の中止をちらつかせて、日本国として圧力をかけるだろう、今の内に排除した方が良いだろう、しかし事はあくまで内密じあぞ、国王も我々、
を無視できぬ、

デイック男爵はインドシナへ赴任の手続きをとる、そなたにインドシナに土地を与えよう農場を作ると良い3年たてば本国へ呼び戻すぞ、取り返した金貨500枚は総てそなたにやろう、
と言うと、ありがとう御座います、準備して直ちに出立しますと言ったのです、侍従長がみえられましたと家来が言うので、辞表を取りに来たのか、お前達は隠れておれと言って、

応接間に行きこれが辞表だと渡すと、確かにお預かりします、金貨はどうされましたと言うので、とっくにホテルに持っていかせたと言うので、それでは、この金貨は侯爵にお渡し、
します、陛下が侯爵に出させるのは気の毒だと申されました、又今日は内務大臣を辞任なさいましたが、これは再任状です、明日からは又内務大臣として公務にはげまれるようにと、
の事ですと渡すので、

承知したと受取ると、それではと侍従長は帰っていったのです、みんなが集まっている部屋に戻ると、やはり辞表を取りに来たのですかと聞くと、そうだが明日から再任するそうだ、
又金貨も陛下が出されるようだ、侍従長が金貨500枚を返しに来たと言うと、やはり侯爵を恐れているのですよと言うと、しかし、この計画は実行するぞあの者は排除したほうが良い、

あんなのが日本政府にいると何かとやりにくいからなと言うので、ダニエルがあの男が国王に上申したのでしょう、我々に敵意をもっていないなら、計画は中止すべきですと言うと、
いや決行せよ、その内に日本も植民地にして、金は総て手に入れてやると言ったのです、その頃源三郎はホテルのラウンジでアリサと酒を飲んでいたのです、アリサが取り返しに、
くるでしょうかと聞くので、

いや国王が総て言う事を聞いてくだされたので、襲うのは諦めるだろう、もし襲えば総てがパアになるからなと言うと、侯爵のあの目は悪人の目です、面子を潰されたのです、そう、
簡単には諦めない、と思いますがと言ったのです、中々人を見る目が、養われたようだねと言うと、この旅で何人も見てきました、みんな同じ目をしていましたよ、と笑ったのです、

明日は船に乗りエゲレスへ行き、アメリカ行きの船に乗るので、襲うとしても場所がないからな、まさか、アメリカまでは追ってこぬだろうと言うと、アジアについてからが危ない、
ですよ、そのまま日本へはいけないので上海でオランダ船に乗りかえるとして、上海か長崎へ行く船がもっとも危険ですと言うので、そうだな、ならばエゲレス船で対馬に行き上陸、
して日本船で長崎に行けば良いと言うと、

それが一番安全ですねとアリサが言ったのです、源三郎があの男が政府にいる限りは強圧政治はやめないだろう、しかし、国王も彼ら一派を排除すれば、国体が弱体化して他の国に、
付け入られるおそれがあり、排除は難しいな、暫くは植民地の民は苦労するだろう、困ったもんだねと言うと、東南アジアのどこかを独立させれば、黄色人種が自信をもちあちこち、
に飛び火しますよと言うので、

そうだな、一番弱体化しているルソンと、オランダが実行支配している清国の台湾あたりが良いかもしれぬな、帰ったら考えてみるとしょうと言うと言うと、ロシアとだけは事は構、
えないで下さいと言うので、何処とも事はかまえないよ、現地の人間が意識しなければ独立は出来ない、学校を作り民族意識を植え付けたほうが良いのだよ、まずは、オランダ語と、
スペイン語を覚える事だなと言うと、

各国の言葉を通訳する、辞書と言うのがありますので、エゲレスで手に入れれば、良いですよと言うので、そうしょうと返事したのです、宜しいですかと騎士が傍に来たので見ると、
ダニエル子爵です、席を勧めてワインで杯を傾けて、何かと聞くと、ハイ、今回の一件で侯爵は閣下を恨んでいます、上海から長崎への船中で襲う手順を立てています、上海から、
はオランダ船に乗るのは避けてくださいと言うので、

子爵は強圧政治派ではと言うと、違います、どちらにも顔を出すので、優柔不断な奴と思われていますと笑ったのです、今の処は強圧派が国政を牛耳っています、これを変える事は、
難しいでしょう、閣下が言われたように、公平な交易をした方が国の為になる事が分からない連中が多いのです、国王は分かっているのですが、押さえつければ、国王を排除して、
幼い皇太子を擁立して、

国政を専横するでしょう、国王はそれを分かっているのですとワインを一気飲みしたのです、良い情報を頂きましたな、貴方は良識のある人らしいですな、国王から頂いた金貨を総、
て子爵に託しますが、これで仲間を増やして圧力をかける事は出来ませんかと言うと、閣下はおめでたい人ですね、わたしが強圧派でこれは引っ掛けかもしれませんよと言うので、

そうだとすれば私のみる目がなかったと言う事ですので、仕方ありませんと笑うと、子爵がわかりました、それだけの資金があれば、水面下で仲間を増やす事が出来ます、ありがたく、
頂いておきます、上海に行ったら東方商会と言う会社をジョンと言う男がやっています、便宜を図ってくれます、この男は昔わたしの家に奉公していました、信用できる人間です、
頂く中から100枚を渡してくださいというので、

それは別に用意しますので、500枚を持ち帰りなさいと言って、アリサ暫くお相手していてと言うと席を立ち、部屋から金貨の袋を持ちラウンジに戻り子爵に渡すと、確かにお預かり、
します、どこまで出来るか分かりませんが、国王に危害が加えられないように、仲間を密かに集めます、いざと言う時は、侯爵を排除しましょう、それで死罪になっても本望ですと言、
うので、

くれぐれも無理をしてはいけません、いざとなればロシアへ亡命しなさい、アリサが手引きしてくれますと言うと、アリサが遠慮なさらないで下さいと言うと、ありがとう御座います、
不思議な事に、いつのまにか、お2人の味方になってしまいましたな、でも閣下は凄い人ですね、日本の将軍は羨ましいですよと言って、再び乾杯すると、子爵は帰っていったのです、

ワンクリックで応援できます。
(ログインが必要です)

登場人物紹介

登場人物はありません

ビューワー設定

文字サイズ
  • 特大
背景色
  • 生成り
  • 水色
フォント
  • 明朝
  • ゴシック
組み方向
  • 横組み
  • 縦組み