第89話

文字数 2,720文字


源三郎江戸日記(弟五部)89

外務大臣にハポンの小判100枚を陛下に献上しますと言って渡すと、陛下がお喜びになるでしょう、わが国は閣下を歓迎します、何なりとご要望を言って下さいというので、国内の見分を、
させて貰うだけで結構ですと言うと、承知しましたこの許可証を見せれば役人が便宜を計ってくれますと渡したのです、職員に宿泊所を案内させますと言って、職員を呼んで指示したの、
です、

外務省を出て、職員の案内で市街のホテルに宿泊する事にしたのです、職員は総て外務省が負担しますのでゆつくりと逗留して下さいといって帰って行くと、中々の高級ホテルで支配人が、
このホテルの一番良い部屋ですと案内したのです、部屋に入ると広々とした部屋で窓からの眺めも最高で調度品も素晴らしいのです、夕食はこのホテルの近くのレストランで取って下さい、
連絡してありますと言って地図を渡し、

すぐ傍に闘牛場があります、どうぞ見てきてくださいと言うと支配人は部屋を出て行ったのです、闘牛と言うと牛同士が戦うのと聞くと、いえ、人と牛が戦うのです、闘牛士はイスパニア、
では英雄なのですよと言うので、殺してしまうのと聞くと、勿論そうですよ、度々闘牛士が牛の角で殺される事があるそうですと言うので、牛はおとなしい動物のはずだがと言うと、中に、
は乱暴な牛もいますよ、

そんな牛を集めて、くるそうですと言ったのです、それでは見に行こうと言ってホテルを出て闘牛場に向かったのです、入り口で許可証を出すと役人が出て来て席に案内したのです、私は、
この闘牛場の支配人でダニエル男爵ですと言うので、スペインの騎士ですな村上ですと握手をすると、私も競技に出場します、閣下もハポンのナイトと聞きました、一つ出てはいかがです、
かと言うので、

断るとハポンのナイトは臆病者だと言われるのですなと言うと、まあ、そういう事になりますと笑うので、男爵の後に出場しますが、私は牛は殺しません牛が言う事を聞いたらわたしの勝、
ちとしてくださつれというと、構いませんが、此処の牛は狂暴で人を殺すまで襲って来ますよと言うので、おとなしくなった牛はどうなるのでと聞くと、もう役には立ちませんから牧場に、
返して余生を全うさせます、

又3人に勝った牛も牧場で種牛として、余生を過ごさせる事になりますと言うので、承知したと言うと、それでは後でと言うと席を離れたのです、アリサが何処でも戦いを仕掛けられますね、
と言うので、ロシアでの事を聞いてみんな挑戦したくなるのだろう、牛とは友達だから大丈夫だよと言ったのです、隣に座った女子が私が案内役のカルメンですとフランス語で言うので、
手に唇をつけて宜しくと言うと、

アリサは握手して宜しくと言ったのです、すでに3試合が終わり1人の闘牛士は牛の角に引っ掛けられて死にました、毎日1人は傷つくか死にますと言うので、それに観客は興奮するわけだ、
ローマの剣闘士みたいだねと言うと、この競技場でも月に一度皇帝陛下の見分の元剣士同士の戦いがあります、そこで勝てばナイトの称号を授けられて、取り立てられるので、沢山剣士が、
出ます、

又ナイトは勝てば高級官僚に取り立てられるので、ナイトも沢山でるのですよ、明日がその日です、多分ダニエル男爵も出ると思います、閣下も出るように要請すると思いますと言うので、
皇帝陛下が見分するのでは断るわけにはいかぬなと言うと、命あって物種ですよ、お断りなされませと言ったのです、次は男爵の出番ですと言うと、男爵が赤い布を持って剣を高々と上げ、
ると、

観客がわ~と歓声を上げたのです、牛の入り口のゲートが開けられると、興奮した牛が入って来て、男爵を見つけると一目散に走り襲いかかったのです、横に飛び難なくかわすと、牛は、
きびすをかえして又走り男爵を角で引っ掛けようと襲うのですが、そのたびによけて背中に剣を突き刺すと、さらに牛は怒り突進を繰り返したのです、何回か突進しましたが男爵にかわ、
されて剣を背中に突き刺されて、

苦しみの表情をして突き進むと男爵が飛び上がり背中にブスリと剣を刺すと牛がもんどりうってどす~んと倒れると、観客からお~と言う声と拍手が起こったのです、男爵は手を上げて、
観客に答えて、拍手がなりやむと、今日は遠いハポンからナイトが来ています、この次に出場するそうです、村上閣下どうぞと言うので、立ち上がると、わ~と歓声が上がったので階段、
を降りて競技場に入り、

手を上げたのです、男爵が赤い布を渡したので受取り、剣は刺したら次があそこにありますので、取り次々と背中に刺すのですと言うので、剣は刺しませんと言うと、構いませんが殺さ、
ないと牛に殺されますよと言うので、大丈夫ですよと言うと、それでは健闘を祈りますと言うと競技場を出て行きアリサの隣に座ったのです、武器を持たずに牛をなだめられるものか、
ここの牛は狂暴な牛ばかりだがと言うので、

ありさが閣下はあの手が剣にもなるのですと言うと、なる程東洋の拳法なのですなと言ったのです、いよいよ牛が放されると歓声が上がり、益々牛が興奮して一目散に源三郎めがけて突進、
したのです、源三郎は真正面に立ち塞がったので、だれしも、何をするのだ角にひつかけられるぞと思い、目の前に来たので目を瞑ると、源三郎は右手をかざして睨みつけると、牛が前足、
で踏ん張り土煙が上がったのです、

何の音もしないので不思議がっていると、土煙が治まり牛は源三郎の1m手前で停止して口から泡を吹いていたのです、牛の目は血走しっており、くるりと向きを変えて反対方向に走り出し、
て再び向きを代えて、猛然と走り源三郎につきかかって来たのですが、再び手前まで来ると前足を踏ん張り土煙が上がったのです、牛はどうしてもそれ以上いけないので呆然としています、
牛の目から炎が消えたので、

近寄るとも~と言う声を出して、源三郎の手をベロベロ舐め始めたので、良く我慢したと首筋をなぜて、ひょいと牛に又がるとおとなしくしています、角を両手で握り入り口に行くように、
言うと、ゆつくりと歩き始めたのです、入り口を開けろと言うと開けたので、牛から降りて、これでお前は二度と闘牛ははなくて済むぞ、牧場でのんびり草を食み暮らすのだと声をかける、
ると、

も~と鳴いて出て行ったのです、競技場に戻りるとみんなが唖然としています、両手を挙げるとお~と歓声が上がり、沢山の拍手が沸き起こったので、静止して、わがハポンは仏教国で、
仏教の教えでは牛は東洋の農耕牛として良く働くので、殺生は戒められているのです、したがって牛をおとなしくさせる方法を会得しているので、おとなしくなったのですとフランス語、
で大声で話したのです、

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