第75話

文字数 2,900文字

源三郎江戸日記(弟五部)75

この建物は素晴らしいというと、西洋は殆どがキリスト教徒ですが宗派は沢山分かれています、ハポンはと聞くので、ハポンではキリスト教は禁止になっているというと、なぜですかと聞く、
ので、元々仏教国であり、今から130年程前にキリスト教の宣教師がやって来て布教活動をしていたが、オランダ、イスバニア、の神父が互いにいがみ合ったのと、時の権力者が自分より、
イエスを崇めるのは怪しからぬと言う事で禁止して、

宣教師を国外追放にした経過がある、当時はオランダ、イスバニア、イギリス、フランスは仲が悪かった事もあるのかも知れない、その後鎖国政策を取ったため、長崎と言う場所のみで、
オランダとの交易を認めたのだと言うと、たしかにロシア正教と他の国の宗派とは仲悪い事は確かですと言うので、その宗教対立をハポンに持ち込まぬ為だったのかもしれないな、宗教、
を時の権力者が利用しているのも事実だね、

キリストを磔つけにしたのがローマ帝国だとしたら、その中でキリスト教が広がったのは、時の権力者が国をまとめる為にキリスト教を利用したのではないかとも思うが、それは別にして、
弱い人が神にすがるのは悪い事ではない、確かにハポンの仏教も沢山の宗派に分かれているが、それで争いをしているわけではない、宗教と政治は別次元の者と考えるのが正しいのでは、
ないかと思うと言ったのです、

もっとも私の場合は困った時の神頼みだがと言うと、アリサも私もそうですと笑ったのです、午後には皇帝陛下の謁見があるのでそろそろ帰ろうといって、宿舎に戻り昼食を取り一服して、
いると、外務省の役人が向かえに来たので正装に着替えて、宮殿に向かったのです、謁見の間に通されて待っていると、皇帝陛下が出て来たので片足でひざまずき、拝謁を賜り有難う御座、
います、

はるか東方のハポンよりまいりました、外務大臣の村上源三郎で御座いますと言うと、面を上げるが良い、1万キロも離れた東方よりよく来た、又多大な金貨を献上したと聞く、感謝して、
おるぞと言った、ハポンから来た理由は外務大臣から聞いた、たしかにハポンとの国境線は確定していないが、わが国はアイヌ人はハポンの国の民とは認めていないと言うので、承知し、
ております、

わが国はアイヌはハポンの民だと思っています、国境線の問題すぐに解決できる問題ではない事も承知しています、今回はその件は棚上げするとして、漂流民の扱いで御座います、海難、
事故により漂流して流れ着いたのですから、この者達は速やかにハポンに返していただきたいのです、ハポンもロシアの漂流民は送り返す事にします、ハポンは鎖国しており唯一長崎に、
窓口を設けています、

しかしはるか北で遭難したものに長崎に回航させることは不可能で御座います、現に嵐の為稚内湾に入った船が嵐がおさまるまで停泊したり、水、食料、燃料の不足に関しては供給して、
います、又ロシア商船のカラフト、千島列島における交易も認めています、ただし、カラフト、千島列島への移住を認めていないのです、又一部のロシア商船がアイヌから毛皮税と称し、
て、

毛皮を強奪している事実もあります、このような行為をハポンは見逃すわけにはいかないのです、あくまでもアイヌとの正常な交易お願いしたい訳でありますと言うと、要求はそれだけか、
と言うので、そうで御座いますと言うと、承知した余が皇帝であるうちは抑留しないで送り返す事にする、但し漂流民がロシア定住を望むならそれを許可する、又アイヌから毛皮税等を取、
ると言う通達は出しておらぬ、

そのような行為をしないようにと漂流民の返還は各総督に通知しておこう、ハポンが鎖国している以上はこの件に関して文書をにて約定は出来ぬと言うので、皇帝陛下が認めてくだされば、
文書は無くても結構に御座いますと言うと、その為にわざわざ1万キロかなたから此処まで来たとは驚きだと笑ったのです、この話はこれにて終わりじあ、ハポンの鉄砲はロシアより優れ、
ていると聞いた、

余にそれを見せてみよと言うので、承知しました2000フイート先の的を射抜く事が出来ますと言うと、内務大臣用意は出来ておるかと皇帝が聞くと、宮殿の庭に用意してありますと言うの、
で庭に出でて、それではやってみますと鉄砲を構えて引き金を引くと、ずど~んと音がして的の真ん中を射抜いたのです、皇帝が見事な腕だなと言うので、恐れ入りますと頭を下げて席に、
戻り、

ロシアの鉄砲よりも500フイート先に飛びます、この鉄砲も皇帝陛下に献上しますと言って内務大臣に鉄砲と玉と火薬を渡すと、渡せば我が国が同じ性能の物を作る事になるがと言うので、
いずれは作られる事になります、鉄砲、大砲も進化する物で御座います、隠しておく必用はないのです、遠くに玉を飛ばして命中精度を上げるのは、火薬の量を増やして銃身を少し長く、
すれば良いのですが、

火薬の量を増やしますと銃身が破裂する恐れがあります、そこで爆発する部分の鉄厚を少し厚くします、さらに火薬の量を一定にする為にあらかじめ紙の袋に計りではかり同じ重さにする、
のです、こうしておけば、この紙袋を歯で噛み切りいれれば、正確な量を素早く筒の先から入れる事ができます、こうすれば暴発の危険はなくなるのですと言うと、なる程少しの工夫で、
性能が良くなるわけじあなと皇帝が感心したのです、

内務大臣早急に研究すべしと言うと、承知いたしましたと返事したのです、他に何か頼み事はないかと聞くので、これはロシアの内部の事で、私が口を挟む事ではないかも知れませぬが、
今日わたしの案内をしてくれたアリサの両親が冤罪により流刑になっていると聞きました、なにとぞ赦免していただけますようにと言うと、何冤罪となその冤罪の証拠はあるのかと聞く、
ので、

これはイワノフ殿がロゴスキー殿に送った賂の書付に御座います、この金はロシアのフランス公使館からアリサの父親が懐にいれたとされる金に御座いますと言うと、それではイワノフ、
の仕業と言う事かと言うので、一介の駐在武官がこのような大金をもっているはずは御座いませぬと言うと、ロゴスキーこの書付の内容の金をそなたはうけ取ったのかと聞くと、まさか、
機密費だとは思いませんでしたと言うと、

イワノフこの大金はどうしたのだと聞くと、代々我が家に蓄えてあったもので御座います、いくらハポンの大臣と言えこのような冒涜をされるとは心外に御座いますと言うと、外務大臣、
が、そなたの家は借財で首が回らぬはずじあ、そのような大金があればその借財に当てるべきたであろう、言い訳もはなはだしい、告発したのはそはなたであるぞ、流刑にするようにと、
頼のむ為と、

皇帝陛下の護衛隊長になる為の賄賂と言う事ははっきりしておるわと言うと、内務大臣が何を弁解しょうと、大金の授受があった事は歴然としております、ロゴスキーとイワノフは裁判、
にかけるべきです、ロコスキーは内務省の高官です、その責任は内務大臣であるわたしにあります、どうぞ罷免してくださりませと言うと、外務大臣が冤罪を見抜けなかった私も罷免し、
てくださりませと言うと、

ワンクリックで応援できます。
(ログインが必要です)

登場人物紹介

登場人物はありません

ビューワー設定

文字サイズ
  • 特大
背景色
  • 生成り
  • 水色
フォント
  • 明朝
  • ゴシック
組み方向
  • 横組み
  • 縦組み