第87話

文字数 2,909文字


源三郎江戸日記(弟五部)87

町の見物が終わって、昨日のレストランに行くと、主人が今日は魚料理を中心にしました、警察より沢山の迷惑料を頂きました、町の者は大喜びしています、今日はお代は頂きません、
年代物のワインも出しますと言うので、それは済まぬなと言うと、遠慮なさらないで下さいと言ってワインを注ぐので乾杯したのです、美味しい料理を食べて喜ぶと、アリサが源三郎、
といると、

楽しいとはしゃいでいたのです、主人が店の客にもビールをご馳走するとみんなが大喜びしたのです、美味しい料理と酒を飲み遅くまで盛りあがったのです、ホテルに戻りシャワーを、
浴びてサツパリしていると、外務大臣がやって来て陛下が大変お怒りになり、エリックは爵位を取り消され、あの5人はパリ追放と決まりました、キズが癒えたらアメリカに渡るそう、
です、陛下が閣下に詫びてくれと言われて金貨300枚を下さりました、

どうぞお受け取りくだされと言うので、礼を言って受取り、ホテルのレストランでワインを勧めて杯を重ねたのです、どうでしたか、町の見物はと聞くので、どこも素晴らしくまさに、
芸術の都ですねと言うと、お気に召してよかったです、これは陛下よりの朱印状ですフランス各地の役所で便宜を計ってくれますと渡すので、有難う御座います、ここにハポンの金貨、
が300枚あります、

陛下に寄進いたしますと渡すと、袋から取り出してこれがハポンの金貨ですかと言うので、少し鉄と鉛が混じっていますが、殆ど金ですと言うと、陛下がお喜びになるでしょう、良い、
旅を祈っていますと言うと、握手をして帰って行ったのです、部屋に戻るとアリサが又西洋の金貨が増えましたねと言うので、金があれば沢山の人助けが出来るからねと笑って、今日、
も頑張ろうと、

抱き寄せて燃え上がったのです、翌日はカーンに戻り船に乗りポルトガルに向うと、おだやかな航海で2日かかって、ポルトガルのリスボンに到着し、上陸してホテルに宿を取ったのです、
ここもアリサが良く知っているホテルだそうで、支配人が部屋に案内してアリサお嬢様、8年ぶりですよ、お父様の事では心配していましたがと言うので、今回冤罪だと分かり赦免された、
のですよ、

旅が終わる頃には、家に帰って来ていると思いますと言うと、それはよかったですと言うので、この方はハポンの外務大臣ですよと紹介すると、何とハポンから起こしになったのですか、
ハポンが鎖国する前は多くのポルトガル船が交易にハポンに行ったそうです、ここのホテルのオーナーもその交易で一財産を築いたそうです、ゆつくりと滞在して下さいと言うと部屋を、
出て行ったのです、

リスボンは港町で多くの帆船が係留してあり、港は活気付いています、ここから遠くアジア、南アメリカへ交易に出掛けるのかと窓から港を眺めると、ここはず~と南に位置しています、
ので、暖かい町なのですと言うので、ハポンの江戸と同じ位の位置だと思うよと言うと、江戸も港町ですかと聞くので、此処と同じで大きな湾の付け根にあり、冬は少しだが雪も降るが、
積もる事は珍しいと言うと、

ここも同じです、しかし、100年以上も前にあの遠いハポンまで、航海して行った人がいるなんて信じられません、と言うので、おそらく当時は200トンくらいの小さな船で、ハポンまで、
は1年はかかっただろう凄いねと言ったのです、1人の男が入って来てアンドレといいます、ここのオーナーですと手を出すので握手をして席を勧めると座り、ハポンの大臣閣下と聞きま、
した、

私も20年前に上海でオランダ船に乗りかえ長崎に行きました、出島に上陸して1月程いましたが、ここと似た港町でした、ハポンは鎖国していますので直接の取引を出来ませんがオランダ、
船を経由して今でも交易は盛んですよ、ハポンの芸者は中々素晴らしかったですと言うので、カステラ、カボチヤ、ボタン、カルタ、カッパはハポン語として使われていますよ、鉄砲も、
200年前にポルトガルから伝わったそうですと言うと、

アンドレがそれが今ではハポンで生産して幕府は3万丁を保有しているとか、清国にもそんなにありませんよ、アジア一の武器保有国だそうで、列強もおいそれとは手は出せないとの事で、
すよと言うので、ポルトガルの外務省に後で顔を出してきましょう、内密な行動をとると疑われますからなと言うと、それが宜しいですね、それではゆつくりして行ってくださいと言う、
と部屋を出て行ったのです、

それでは外務省に顔をだそうと、連れ立って顔を出すと、大臣室に案内され、ペドロ伯爵ですと手を出すので、村上ですと握手をすると、席を勧めるので座ったのです、ハポンとは長年、
友好国でしたが、島原の乱でキリスト教徒に味方した、と言う理由で長崎への出入りを禁止されたのですが、わが国はキリスト教徒が迫害されれば、手を差し伸べないわけにはいけませ、
んと言うので、

あの時期はポルトガル、イスパニア、オランダが互いに覇権争いをしていた時期で、幕府は西洋の揉め事に巻き込まれたくなかったのです、あの乱はキリスト教徒を不満分子が扇動して、
起きたのと、領主の圧政によるものです、関係した2人の領主は、領地を取り上げられました、オランダのみが幕府に味方した為に、交易を許し、あれ以降に完全な鎖国を実施する事に、
なった訳です、

この方針は変わりませんが、貴国はオランダ船を経由して交易されれば良いかと思います、オランダも出島までしか、立ち入る事は出来なくなっています、国内の平穏を保つ為には仕方、
ない事です、どうかご理解くだされと言うと、承知しています西洋ではイギリス、フランスが台頭してきています、わが国は小さな国ですので、海軍力ではかないませんし、両国と張り、
合うつもりはありません、

この両国はアジアを狙っています、ハポンも気をつける事ですな、聞いた所によりますと、射程距離2000フイートの新式鉄砲3万丁に、大砲500門を幕府は装備されているとか、それなら、
イギリス、フランスも容易には手は出せないでしょうと笑ったのです、源三郎があえて申し上げるがこれは私個人の考えであるが、西洋が異教徒とみなしているアジアの国にキリスト教、
を布教するとして、

宣教師に意図を含めて送り出している、それはキリスト教に入信させて味方を作り、その者達を使いその国で反乱を起させて政府を転覆させて侵略すると言う事ではないのですか特に、
イスパニアはそれを意図してハポンで布教していた事実があるのですと言うと、なぜそう思われるのですかと聞くので、ローマ法王は異教徒は総て奴隷としても良いと言っているの、
でしょう、

わたしは宗教は政治に介入すべきではないと思っているのです、さらに当時沢山のハポン人が西洋に奴隷として売られた事も事実です、キリスト教徒はイスラム教徒を奴隷としており、
イスラム教徒はキリスト教徒を奴隷として使っているのも事実です、これ以上ハポン人を奴隷にするわけには行かないのですと言うと、忌憚の無い意見ですな、イスパニアではその事、
を口に出してはいけません、閣下に危害を加える事でしょう気をつけて下さいと言ったのです、

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