第66話

文字数 2,591文字

源三郎江戸日記(弟五部)66

船は大砲6門を積んだ軍船を用意してあり、宿舎は100人分を用意してありますので、船子も冬篭りします、高田屋に聞いた話ですがエトロフの北で、ラッコを捕獲していた漁師が今年の、
夏に行方不明になっていたそうです、カムチャッカから逃げて来たアイヌの話によりますと、漂流中ロシアの船に捕まり捕虜となっているそうでカムチャッカで和人の言葉を教えている、
そうです、

アバチャ川が湾内に流れ込んでいる場所にペトロパブロフスク・カムチャツキーと言う町があるそうで、湾の東側に位置しており、冬でもアバチャ湾は凍らないそうです、このためラッコ、
等の毛皮の集積基地になっているとの事です、人は1000人以上住んでいるそうですが陸路はなく、もつぱら船でロシア本領のシベリアとは行き来しているそうです、エトロフと同じで多く、
の火山があると言っていましたと言うので、

軍船もいるのだろう、しかしロシア人とは凄いな、そんな極寒の地にも移住しているのかと言うと、冬でも気温は本領のシベリアに比べれば暖かいそうですと言うので、冬でも湾が凍らな、
いとすれば、益々重要な基地となるじあろう、エトロフは我が国にとってロシアの南下を防ぐ重要な海防の場所になるわけだ、海路だけが行き来する手段と言う事は、大陸に近いカラフト、
とエトロフを結ぶ航路が、

我が国にとって重要な北の防波堤と言う事だ、今回のカラフト、エトロフを含む蝦夷地への陣屋設営はロシアを牽制する上策であった訳だと言うと、七衛門がまさに良い時期であったわけ、
です、これで少なくとも100年以上はロシアは南下出来ないでしょう、北側の制海権を日本は蝦夷を通して簡単に確保できますが、遠く本領と離れているロシアのカムチャッカは補給を断、
たれる恐れがありますと言うので、

そうなるとロシアはシベリアから、大陸の南下を始めてウラジを始め、清の東北部を南下して朝鮮半島に向うという事じあなと言うと、まさに殿の読み通りになりますねと七衛門が言った、
のです、源三郎が予見したとおりこれより120年後にロシアは清の東北部を南下し朝鮮半島にせまり日本と戦う事になるのです、翌日はみんなが料理屋に集まり出陣の膳を囲む事になった、
のです、

江戸も平穏なようなので後の事は頼むと杯を傾けて、連絡がとれなくなるのは1月の半ばから2月末までの1月半だ心配ないだろうと言うと、お律が老中自ら極寒の地で冬こもりする等どうか、
しています、母上が心配していましたよと言うので、兄上も宗谷で冬篭りなされるのだ、わしだけがぬくぬくしている訳にはいかぬだろうと言うと、それは兄上がやると言われたので各藩、
とも重役を出す事になったのですと言うので、

極寒の厳しさを各藩の重臣が体験すれば、部下を行かせてほったらかしにはしないじあろう、そうしなければまともな海防等は出来ないのじあよ、遠い北国の事じあがこの国にロシアが手、
を出さないようにする重要な事なのじあよと言うと、そのような所に住んでいるのですから白熊と同じに獰猛なのですかと聞くので、普通の人間じあが国と国の事じあから、個人の意思と、
はかかわりなく、

国の利益が優先されれば侵略される事になりかねない、事実エゲレスはインド、オランダはインドシナの南部、フランスは北部、イスパニアはルソン、を占領しているのじあよ、その内、
ロシア、メリケンがアジアに進出してくる事は明白なのじあと言うと、お律がいつごろですかとと聞くので、まあ、後100年後じあろうが、カラフト、蝦夷、千島列島の海防を強化しな、
ければ数年内にロシアはカラフト、千島列島を南下して蝦夷に迫り、

その後は出羽、陸奥から江戸に向ってくると言うと、それは大変ですねみんなもそう思うているのですかと聞くので、思わないから、今回尻を叩いたのじあよ、何もロシアと戦をする訳、
ではない、日本へ進出するのは難しいと思わせるのが目的じあよと言ったのです、ロシアが西の果てから東の果てに簡単に進出できたのは、そこに住んでいる者は鉄砲をもっていなかっ、
たからなのじあ、

初めて鉄砲に出会ったのは清国の領土と向かい合った時なのだよ、中国は秀吉公の唐入りで我が国の鉄砲の威力に愕き、その後鉄砲を装備するようになったわけだ、インド、インドシナ、
ルソンも鉄砲を持っている者がいなかったので簡単に占領されたわけじあ、メリケン大陸の原住民も鉄砲を持っていなかったので簡単に西洋人に入植されたわけじあ、火薬は元々中国で、
発明された物じあ、

元寇が博多に攻めて来たときにすでに壷に火薬を入れて爆発させる武器を持っていたそうじあ、火薬の作り方が砂漠の道を通り西洋に伝わり、それが鉄砲、大砲を生むことになった訳な、
のじあよ、わが国は種子島に来たポルトガル人がもたらしたのが戦国時代じあな、織田信長公が戦に使いだしてから広がったのじあよ、その為に我が国には関が原の時には数万丁の鉄砲、
があり、

西洋人が愕いたわけじあ、家康公が鎖国を言い出された時は、その鉄砲の数に西洋は愕き鎖国を認めたと言う事じあなと話すと、お律がなる程西洋人が我が国に攻めてこないのは信長公、
のお陰なのですねと言うので、そうとも言えるなと言ったのです、それなら兄上に頑張ってもらわねばと言うので、お律は蝦夷にて両替の商いをやり儲けられるから良いではないかと笑、
うと、

そうですね沢山の人が入植すれば儲かりますと喜んだのです、あやめと桜が蝦夷には芸子はいないのですかと聞くので、函館、松前にはいるぞと言うと、ならば時期に蝦夷地にも置屋が、
出来ますねと言うので、それも随分後の事じあろう大きな町に発展して金持ちが増えれば出来るじあろうと言うと、それまで待つとおばあちゃんになってしまいますので、私たちの時代、
では無理ですと言ったのです、

翌日は玄海屋の船に乗りまずは函館に向ったのです、函館で補給物資を積み込み一路室蘭を目指して上陸すると雪は降っていません、室蘭陣屋の頭が出迎えたて、案内するので見て回る、
とレンガ作りの陣屋に長屋が建っており、いずれも暖炉と西洋式の寝床が作ってあります、頭がこの場所は雪は少ないそうです、ここから函館までは山が多く道を通すのは大変難しいで、
すが、港としては良い地形ですのです、魚も豊富だそうで良い漁港として発展するでしょうと言ったのです、


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