第76話

文字数 2,711文字


源三郎江戸日記(弟五部)76

内務大臣も外務大臣も辞職する事はまかりならぬ、証拠がある以上はアリサの父母は早急に赦免して元の職責に戻すが良い、源三郎これで良いかと、聞くので、内政に口ばしを入れて申し、
訳ございません、この事を私に漏らしたアリサにお咎めなきようにお願いいたしますと言うと、わかっておる、アリサ許せよと皇帝が言うと、皇帝陛下のお慈悲に感謝いたしますと礼を、
言ったのです、

皇帝がロゴスキーとイワノフはハバロスクに流刑にせよと言うと、内務大臣が承知しましたと言うので、おまち下さい、余計な差し出口をいれた私も罪はあります、そこでイワノフ殿と剣、
で勝負させてください、私が負ければ二人の流刑は取りやめにしてください、私が勝てば流刑ではなく暫くイルクーツとハバロスクに赴任してもらうと言うのはどうでしょうかと言うと、
それで良いのかと聞くので、

皇帝陛下が願いを聞き届けてくだされたので、この戦いで命を落としても悔いは御座りませぬ、ハポンには病気で死亡したと通知してくだされば結構に御座いますと言うと、なる程モスクワ、
1の騎士に勝っただけのことはあるな、しかし、イワノフの腕はもっと上じあぞと言うので、タダの剣士の勝負ではなく戦の流儀で行います、何しても戦なれば卑怯はないと言う事に御座い、
ますが、

あくまでも剣と剣の勝負に御座いますと言うと、イワノフどうじあと皇帝が言うと、望むところに御座いますと言うので、それではやりましょうと言うと、真ん中に出たのです、イワノフ、
が剣を抜いたので源三郎も剣を抜き、勝っても負けても恨みは残さないと言う勝負ですぞと言うと、イワノフがもとより承知だと言ったのです、いざと言うと、イワノフが間合いを縮めて、
一気に突きを出すと、

源三郎が刀の峰で右に左にかわしたのです、元の位置に戻り、イワノフが再び間合いを縮め突きを出すと、源三郎が踏み込むとイワノフの剣の切っ先は僅かに横に外れたのです、懐に飛び、
込んだ源三郎は左手でイワノフの右手を掴み、右足で腹を蹴飛ばすと剣を離して尻餅をついたので、自分の剣は納めて奪い取ったイワノフの剣を持ちえ~いと顔に突き刺すとイワノフの耳、
元にぐさりと突き刺さったのです、

これまでですなと言って後ろに下がり、皇帝陛下に頭を下げると、皇帝陛下が手を叩くので、皆が手を叩いたのです、見事な腕じあなと言うので、剣の腕ではイワノフ殿が上で御座いまし、
よう、私の剣は戦用の実践剣に御座いますと言うと、しかし、あの鋭い剣の突きを恐れずに懐に入るとはと言うので、私は胴に鎖帷子と言う防御をしております、イワノフ殿の剣が当たっ、
ても腹を突き刺す事は出来ませぬ、

それなので踏み込むのは怖くはなかったのですと言うと、なる程まさに戦用の支度をしておったわけじあなと笑ったのです、ロゴスキーはウルクーツに総督として、イワノフはハバロスク、
に派遣軍隊長として直ちに赴任せよ、源三郎に手を出す事はまかりならぬぞというと、2人が皇帝陛下のお慈悲に感謝しますと言うと席を下がったのです、良い勝負であった今宵は晩餐会、
に出席せよと言って、

いつごろ帰国するのじあと聞くので、折角ここまで来ましたので、これより、エゲレス、フランス、プロシア、を回り、オランダより船で帰国したいと思うていますが、ロシア語以外は、
話す事は出来ませぬ、できればアリサを通訳としてお貸し願いませんでしょうかと言うと、アリサはどうなのだと皇帝が聞くと、喜んで各国を案内します、父上が公使でこの国に住んで、
いた事があり、

知人も沢山おりますし、殆どの国の言葉が分かりますというので、皇帝陛下が外務大臣、源三郎とアリサの旅券を発券してやるのだと言うと、外務大臣が承知しましたと返事したのです、
それで後ほどと言うと、皇帝陛下は下がったのです、内務大臣と外務大臣にお礼を言うと、いや、世話になったのは我々の方にございます、しかし大した腕にございますな、驚きました、
ぞ、

このような人物のおる、ハポンには手は出せませぬと二人は笑ったのです、それでは後程と言うと、宮殿を出て一旦宿舎に戻ったのです、アリサが有難う父と母が喜びますと手を握って、
唇を重ねたので、同行してくれるお礼だよと笑ったのです、源三郎と呼んでいいかしらと言うので構わないぞと言うと、源三郎は強いのですねイワノフに剣を突き刺したときは何もそこ、
までと思い目を瞑りました、

でも耳元に刺しただけだったのでホットしました、優しい心の持ち主なのでよかったですと笑ったのです、イルクーツだと戻ってくるのに数ヶ月はかかるだろう、私の案内が終わって、
ロシアに帰ってくれば両親は戻られているであろう、イルクーツは流刑地だが貴族は自由に暮らしていると聞いた、お父上の領地も返還して下さるだろうと言うと、領地は此処から、
馬で1日の距離ですと言うので、

それでは明日行ってみようと言うと、元の使用人達と親戚が住んでいます、報告すれば喜びますわと言ったのです、晩餐会の時間になり迎えに来たので馬車に乗り宮殿に向かったのです、
迎賓館にはいり席に座ると、皇帝陛下、皇后陛下のおなりと言うので席を立つと2人が入って来て席に座ったので、みなも席に座るとシャンパンが注がれて、内務大臣がロシアとハポン、
の友好を記念してと言ったので、乾杯したのです、

これが宮廷料理かと愕くと、皇后陛下が東洋のナイトと聞きましたと言うので、今日はお招き頂き有難う御座いますと言って立ち上がり、片足をひざまづくと手を出したので甲に唇を当、
てると、カテリーナです、礼節もわきまえているのですね、今日は楽しんでくださいと笑ったのです、このような豪華な料理は初めてですと言うと、皇帝がハポンは何があるのだと聞く、
ので、

海に囲まれているので主な食べ物は海鮮料理が主体になり、美味しい魚が沢山ありますと言うと、海に囲まれているとは羨ましい、ロシアは内陸が多いので、港を求めてここに都を作っ、
たのじあ、国を豊にするには船による交易を盛んにしなければならぬ、貴族の中にはモスクワを離れられぬものが大勢いるのじあ、ここを開いてから西洋の良い物が沢山入って来ておる、
エゲレスは小さい国じあが、

すでにインドに進出して西洋、北洋にない香辛料を持ち帰り、莫大な富を得ている、ロシアは内陸部の北にあるので中々海に出る機会がなかったので、出遅れたと言う訳なのじあよ、これ、
からは海軍力を増強しなければならぬが、理解してくれる貴族が少ないのは頭痛の種なのじあよと言ったのです、富をもたらすアジアの品物と言えば陶磁器に御座います、これは清国、
朝鮮には良い土があるそうで、

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