第20話

文字数 2,668文字


源三郎江戸日記(弟五部)20

何とか切り抜けたぞと言うと、殿も忍びの術を、修練したのですかと聞くので、吉原にいた太夫に習ったのじあと言うと、その太夫も忍びですかと言うので、女将が空蝉とは蝉の抜け殻、
の事ですよ、その女子にかかると、総て精気が吸い取られるのですよと笑うので、何だ色事の話なんですかと言って、私も教えてもらおう、殿私に教えて下されというので、桜がお勝つ、
さんに叱られますよと言うと、

黙っていればわかりゃしませんよ、桜だって黙って情を交わした、お客くらいいるでしょうと言うと、芸者は芸は売っても体は売らないのが決まりですと言うと、金を貰わなければ良い、
ではないのと言うと、桜がそうか金を貰わなければ良いんだ、殿私にも教えてくだされと言うので、それは、大勢の男と情を交わして手に入るのだそうじあ、わし1人では修練にならぬ、
と言う事じあと言うと、

女将さん本当ですかと聞くと、だから吉原の太夫は凄いのだそうですと言ったのです、飛猿が入って来て、どうやら本当に二人は隠居したみたいですと言うので、なんか怪しいがまあ、
良いじあろう、2人がつるまなければ良いのじあ、明日から頼むぞと言うと、まかしておいて下さいと言うと部屋を出て行ったのです、翌日は山形達5人にエミを連れて川越に向ったの、
です、

半日で川越に着き城にはいると、国家老の遠山が出迎えて、良く戻られましたと言うので、任せぱなしですまんと言うと、なにを言われます、幕府の老中なれば仕方ない事ですと言っ、
てみなが待っていますと言うので、御座所に行き、みなのものご苦労である、そなた達のお陰で国元は安泰なようじあ、こんごも宜しく頼むぞと言うとハハハッと全員平伏したのです、

奥に入ると、老女のキミに御座います、エミの方様のお部屋に、案内いたしますと言うので、宜しゅう頼みます言う、と付いて行ったのです、今日は主だったものと膳を囲もうというと、
遠山が支度は出来ています、みな楽しみにしておりましたと言うので、2、3日留まり、後は北に巡察に行くぞと言うと、承知しました、領内も見て回ってくだされと言うので、わかった、
と返事したのです、

町にでも出て見ようとエミを連れて町にでて歩いていると大勢の人で賑わっています、蔵元があり利き酒を振舞っているので入ると、女中がいらっしゃいと言うと湯のみを渡して好きな、
酒を飲んでください、気にいったら買うて下さいと言うので、樽の栓を開けて少しづつ飲むと、甘口から辛口までそろっています、飲んでいくと、うん、これは吟醸酒じあがイモじあな、
と言うぞと、

よくおわかりで、イモで作ってありますが25度になっていますので、イモ臭くないのです、国家老様が日向からお持ちになり指南して下されたそうです、米の吟醸酒より安いので人気の、
品です、お城でもお買い上げくださりますと言って、青木昆陽先生が薩摩からイモをおもちになりまして、川越にはイモ畑が沢山あります、イモのお菓子を始めとして沢山のイモ料理が、
ありますと言ったのです、

ここにあるのは出来たてですよと言うので、それでは一樽を城に届けてくれと言って金を払うと、城の賄い方のお侍様でと聞くので、エミが小さい声で川越のお殿様ですよと言う、え~、
と平伏しょうとするので、お忍びじあと手を取って立たせたのです、会釈程度で良いのじあと言うと、このまま帰すと旦那さんに叱られますというと呼びに行き、主人の新八に御座いま、
すと言うので、

中々繁盛しているようじあな、利き酒で酔うてしもうたぞと笑うと、殿自らおいで下さり感激の極みですと言うので、タダの浪人じあよ気は使わぬでも良い、作りたてのイモ吟醸酒を届、
てくれと頼んで店を出て確かこの辺じあがと歩いていると、料理屋日向と書いてあるので、中に入ると女将がようおいで下されました、お久しゅう御座りますと言うので、エミの方じあ、
と言うと、

お方様日向の女将しので御座います、宜しくお願いしますと言うので、しの、戸田の娘エミじあよと言うと、まあ、エミ様でしたか、懐かしゆう御座いますなと言って部屋に案内したの、
です、まさか殿との巡察に来られるとはと言うので、わしの護衛じあよと言うと、そうですな戸田先生のお嬢様は小太刀の名手でした、遠山とは上手くいっておるかと聞くと、ハイ時々、
お忍びで来てくださりますと言って、

膳を出して酌をするので飲むと、先程のイモの吟醸酒です、イモなのに上手い酒じあなと言うと、ハイ、この店でも人気があるのですよと言ったのです、肴は海が遠いですから川魚になり、
ますが、このあゆと川海老のから揚げもおいしゅう御座いますと言うので、食べて、うんこれは美味いと喜んだのです、子は出来ぬのかと聞くと一人女子の子がおります、今年で8才になり、
ますと言って、

女中に呼びに行かせると、いらっしゃいませ、くみにございますと挨拶するので、おう、しのに似てべつぴんじあのうと言うと、有難う御座りますと言うので、何か習ろうているのかと聞、
くと、小太刀、読み書き、ソロバン、琴、三味線に踊りを習ろうていますと言うので、それは感心じあな、しかし、たまには休むのじあぞ、気を入れすぎると疲れるでなと言うと、ハイ、
適当に休んでおりますと笑ったのです、

暫く歓談すると、今日は殿様を迎えての祝宴とききました、そろそろ刻限で御座いますと言うので、そうじあな、又くる事もあるじあろう、遠山とも仲良くせいと言うと店を出て城に向か、
ったのです、湯に入りサツパリしていると、エミが支度が出来たそうですと呼びに来たので座ると、みなが平伏するので、表を上げよ今日は日ごろの労を労って祝宴をもようする、無礼講、
じあが、

喧嘩は素手でやれと言って、腰元共の席も用意してある、1杯目は注いでくれたが後は手酌にせい、わしも手酌で飲むというと、杯を傾けて宴席に入ったのです、キミが殿様の席に女子が、
一緒に飲むなど聞いた事がありませぬと恐縮すると、エミが我が家の家風じあ、気にせずとも良いと言うと、まことに気さくなお殿様ですなと笑ったのです、それでそそろ行くかと言う、
と、

小姓に酒の入ったやかんを持たせてまずは、遠山の処に行き前に座り酌をすると飲み干し、勿体無い事ですと言うので、苦労かけているからのうと言って、ひとりづつ慰労の声をかけて、
酌をすると、感激極まって泣くものも出て来たので、酒が塩ぽくなるぞと笑ったのです、一通り回り戻ってくると、エミも愕いています、こうやれば、禄の低い者も喜んで奉公してくれ、
るじあろうと言ったのです、

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