第53話

文字数 2,972文字


源三郎江戸日記(弟五部)53

それでは明日は札幌、稚内、カラフト、千島列島、釧路、室蘭を回ってくるぞと言って、奉行所を出て近くの温泉宿に宿泊する事にしたのです、宿に行くとお久しぶりに御座いますと言、
うので、厄介になるぞと言うと、ご老中におなりだそうで、おめでとう御座りますと言うので、上様にこき使われているのじあよと笑ったのです、これはわしの側室のエミじあと紹介する、
とエミが宜しく頼むぞと言うので、

女将が節と申します、宜しくお願いします、お方様と一緒に巡察ですか、今日はゆつくり温泉に浸かて旅の疲れを取ってくださいと言うので、さつそくみんなで温泉に入りに行ったのです、
翌日は馬を調達して開拓村に行くと、小太郎が出迎えて、ここは凄いところです、どこまでも草原が広がっています、長屋も中々素晴らしいです、指南くだされた道具を函館の鍛冶屋で作、
って貰っています、

すぐに開拓に入りますよと言うので、2万両は玄海屋に預けてある、必用な分を貰うが良いと言うと、ハイ、米、味噌、醤油、油、酒を売る店もありますので、みんなはそれを買い自炊し、
ていますと言って長屋に案内したのです、長屋は総てレンガつくりで、中を見ると入り口にカマドがあり、煮炊き出来るようになっており、横には暖炉があり、座敷に上がると掘り炬燵、
が作ってあり奥には西洋式の寝床が置いてあります、

この部屋は4人用ですが、気の会う者どうしで2人を住まわしています、家族も住めますが、家族用は別棟になっていまして2部屋ありますと言ったのです、中々住み易そうじあなと言うと、
これで家賃は月に1朱ですと言ったのです、開拓村の真ん中に詰め所があります、朝ここに集まり各作業区域に行く事になります、牛者、馬小屋、羊小屋はすぐ傍にあり、左が開墾地で右、
は牧草地になっていますと説明したのです、

馬で開墾地と牧草地を回ると広大な広さです、すでに牛、馬、羊は放牧してあります、来年が楽しみじあなと言うと、ハイ、早く作物が収穫できれば良いですと嬉しそうです、冬用の漁、
の船も作って貰っています、ここから海までは1里ですが、冬に吹雪けば1里でも大変だそうです、道も整備が必要なので広げる事にします、雪で道が分からないようにならないように、
両脇に柱を立てて目印にするそうですと言ったのです、

冬用の準備は万端にしておく事だなと言うと、暖炉の薪の他に、幌内のアイヌから石炭(いしずみ)を買て溜め込んであります、冬が近くなれば食料を備蓄します、又牛、馬、羊用に牧草、
の刈り入れを秋には始めて建屋に保管して一冬を越しますと言ったのです、保安要員を全員集めると、肩から鉄砲を吊り下げています、2人づつで区域を決めて巡回する事にし5日に1日、
は非番としますと言ったのです、

開拓村を後にして函館に戻り、松蔵をつれて船に乗り込みそれではまずは札幌に向うぞと言うと、松蔵がいまは札幌に和人が住み着き、幌内では石狩山林で木材の伐採を商人がやっており、
石狩川を下り札幌にいかだで流しています、その人足に多くのアイヌ人を使用しているようですと言うので、その商人はアイヌにまともな給金を払ろうているのかと聞くと、それはわかり、
ません、

飛騨屋久兵衛と言う者だそうですというので、それでは前に行ったアイヌの村の者も働いているのかと聞くと、あの村は幌内でも札幌に近い村です、聞いてみないとわかりませんと言った、
ので、それではそこも査察しょうと言って、船は帆を上げて函館を出航して松前沖を北に向ったのです、幕府のお触れでアイヌからの搾取は減りましたが、目の届かないところでは相変わ、
らず、

悪徳な商人もいるそうです、札幌、幌内には役人がいませんので搾取されているかも知れませんと言ったのです、まさか、石炭もタダで取り上げているのではないだろうなと聞くと、金は、
払っているそうですが、その金が妥当かどうかは比べようがないのでわかりませんと言うので、手間によりけりじあが、露天堀なら薪の値段の半分にすれば良いと言うと、そうですねそれ、
なら妥当ですが、

売値は薪より少し安いだけですと言ったのです、どこの商人もそうなのかと聞くと、大体同じ値段です、玄海屋は飛騨屋久兵衛から買って開拓村に備蓄しましたと言ったのです、玄海屋は、
札幌には出店はないのかと聞くと、あります、カンノコ、ホタテ、コンブ、鮭等の海産物を和人の網元やアイヌから買っています、アイヌも働いていますが和人と同じ給金を払っています、
と言ったのです、

町が大きくなれば自治組織も作る必要があるなと言うと、商人は個別に用心棒を雇っています、玄海屋も3人雇っていますと言うので、生国はと聞くと、津軽の元藩士が2人に元秋田藩士、
が1人です、函館で募集して集めました、剣の腕は中々のもんですと言ったのです、程なく札幌に着いたので上陸すると、岸壁には多くの倉庫が立ち並び、人足が沢山働いていたのです、
何件か居酒屋もあります、

女郎屋はないのかと聞くと、居酒屋の酌婦が兼ねているんですよと言うので、なる程と頷くと、店に案内したのではいると、浪人3人が詰めており、松蔵がご老中の村上様ですと紹介する、
と、三人が山本、津田、広田に御座いますと挨拶したので、ご苦労じあな、治安はどうだと聞くと、気の荒い人足共の喧嘩は絶えません、荷揚げは場所でもめるのですよ、夜になると、
酒を飲んで暴れる者もいますと言ったのです、

他の店に雇われている用心棒は何人くらいいるのだと聞くと、ここにいるのは我々を含めて、大店に雇われている10人位ですと言ったのです、10人の中で一番腕がたつのはと聞くと山本殿、
で御座ると、後の2人が言うので、どうだ山本ここにいる10人で自警団をつくるが頭をやってくれないかと聞くと、構いませぬがと言うので、ならば鉄砲10丁を用意しょう、給金は月3両、
として、

維持費はここに出店を、構えているものの冥加金から捻出する、松蔵何店あるのじあと聞くと、全部で15店ですと言うので、大店は月に10両それ以外は、5両とするがどうかなと聞くと、
冥加金は、それを引いて納めれば良いのですかと言うので、勿論じあ、さすれば店には負担はかからないじあろう、月に100両集まれば十分賄えるじあろうというと、ハイ、十分だと思い、
ますと言うので、

詰め所と住む長屋を作ってくれその費用は幕府が出す、この10人が寝泊りできる規模の建屋じあぞ、それに1000両を下げ渡そう七衛門ここの番頭に段取りさせよ、ここに出店がある主人か、
番頭を呼んでくれと言ってみんなを集めて話しをして、これは幕府の命令である、厭と言うものはここでの出店の、鑑札は返してもらう、尚新しく鑑札を貰う者も、同様とするというと、
みんなが承知しましたと言ったのです、

浪人を集めて参加するか聞くと、全員参加するというので、頭は山本とする、鉄砲の扱い方を知っているものはいるか聞くと、山本がそれがしは元鉄砲組にいましたので分かりますという、
ので、それならみなに教えてくれ、むやみに人を殺傷してはならぬぞと言ったのです、役目は札幌、幌内の治安維持である、アイヌを痛めつける商人の摘発もするのじあ、アイヌの保護も、
役目の一つである、悪人は函館奉行所に突き出すのだと言うと、承知と皆が言ったのです、

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