第63話

文字数 2,906文字


源三郎江戸日記(弟五部)63

翌日城に出仕して御用部屋に入り、国友助衛門を呼び常陸の国友村に納入する、砂鉄が常陸屋から金杉屋に代わったそうじあがと聞くと、ハイ、常陸屋は不祥事をおかして水戸藩の御用達、
を取り消されて金杉屋が御用達になったそうです、昔から水戸藩の御用達から砂鉄は仕入れる事になっておりますので、金杉屋に代えたと佐藤忠座衛門が申しておりましたがと言うので、

納入された砂鉄が上物か中物かは簡単に分かるのかと聞くと、南部藩は厳しく検査しているそうですと言うので、どうやって検査するのじあと聞くと、抜粋して刀を打ち仕上がりをみれば、
焼きを入れるともろくなり直ぐに折れるのです、不純物を取り除くのは何回も水に浸して不純物を浮かせるのです、それで生産元が上物、中物にわけて印をつけて出荷するので、間違いは、
ないはずです、

国友村でも抜粋して検査していますと言うので、ならば上物と中物を混ぜて溶かして作れば試さない限りわからぬじあろうし、刀を打つても中物だけと比べてもろくならないのではないか、
と言うと、そうですが、それなら職人が加担しない限りそのような溶かし方が出来る訳はありません、あの村の者は何十年もいる身元のはっきりした者達です、そのような事をする者がい、
るとは信じられませぬと言うので、

金杉屋に代わってから鉄砲の依頼をしたかと聞くと、ハイ、5丁程注文しまして、出来上がり武器蔵に入れてありますと言うので、古くなったのの交換品かと聞くと、ハイ、上様がお使い、
になる鉄砲に御座います、今までは巻狩りは禁止されていましたので、もう30年も新しくしておりませぬ、幕府は鉄砲500丁を保持しています、上様の命令で順次作りかえる事になって、
います、

最初に上様のお使いになる鉄砲を作ったのですと言うので、どこが代わったのだと聞くと、火薬が爆発する懐の鉄が厚くしてあり、火薬の量を少し増やして、300間届くようになっていま、
す、今までの鉄砲も火薬を少し多くすれば300間は届くのですが、分量を少しでも間違えると破裂してしまいます、こんどの物は多少多くしても破裂しませんと言うので、試し撃ちはと聞、
くと、

国友村で試し撃ちはやっており、いずれも問題ないと言う事で、納めさせたのですと言うので、城でも試しうちするのかと聞くと、ハイ、恒例では上様直々に撃っていただく、事になって、
いますと言うので、今回はいつじあと聞くと、近々城の中の試射場にてやる事になっていますと言ったのです、それでは今から試し撃ちするぞ、その鉄砲をもって試射場に行くぞと言うと、
と憮然とした顔をしています、

これは命令である早くするのだとせきたてて、武器蔵に案内させて配下の者に鉄砲、火薬、弾を持たせて、試射場に行ったのです、火薬と玉を入れたら、鉄砲をそこの台に縛り付けるのだ、
と命令して、撃鉄に紐をつけさせて、念の為じあいくぞ、放てと言うと配下が紐を引くとどか~んと大きな音がして、台座ともに破裂して鉄片が飛び散ったのです、どこが安全じあ5丁と、
もやってみろと言うと、

全部が銃身が破裂したのです、試しに古い鉄砲に同じ火薬の量を入れてやってみろというと、古い鉄砲に火薬と玉を入れて撃つと大きな音がしましたが、銃身は破裂しません、どうじあと、
言うと、助衛門が申し訳ありませぬ、何と言う事をとその場に座り込んだのです、上様が試射しておればえらい事になっておったぞ、誰かが混ぜ物をしたのじあよと言うと、あの佐藤でし、
ようかと言うので、

それはわからぬ、上様の命を狙った者がいると言う事じあよと言うと、直ちに腹を切りますと言うので、そなたが腹を切ってどうなる、これを仕組んだ者を捕まえる事が大事であろう、腹、
を切る事はゆるさぬ、ここで起こった事は他言してはならぬ、他言すれば身内、親族も含めて断罪されるものと心へよ、助衛門は知らぬ顔をしておけ、佐藤が結果を聞いたら、上様が、
おいそがしいので、

まだ試射はやっていないと答えろというと、承知しましたと言うので、後は納入した藩等あるかと聞くと、ありませぬと言ったのです、こんな物で大砲を作られると大変な事になる、職人、
が1人行方不明じあそうだが、この者に作らせて口封じしたのかもしれぬ、国友村での試射は正常な物でやり、これとすり替えたのか、火薬の量を減らしてやったかじあなと言って、これ、
からは今の方法で試射した後に、

人の手で試射するように改めるのじあと言うと、承知仕りましたと言うので、残骸を綺麗に片付けて何も残すなと命令して、犯人探しを手伝って貰うのでわしと同行せよと言って連れ立つ、
て御用部屋に戻り、城に仲間がいるとして、そなたの配下だとすれば直ちに逐電するはずじあ、よく、監視しておくのじあぞ、あとで犯人探しを手伝え、誰も怪我しなかったのだ腹は絶対、
に切るなと言うと、

承知つかまつりましたと言うと部屋を出て行ったのです、源三郎は城を下がり、南町奉行所に行き大岡忠相に会い、事の顛末を言って、国友の配下を見張るように言うと、なんと言う事を、
承知しました、お庭番も総動員して不審者を洗いだしますと言ったのです、奉行所を出て新之助と深川の料理屋に行き、危ないところであった、藤田監物めと言うと、有無も言わさず捕ら、
えたほうが良いのではと言うので、

それは無理だ、証拠は何もない、助衛門も佐藤も係わりないのかも知れぬ、行方しれずの職人の仕業だとすると、こんどは誰を使う積もりじあ、混ぜる方法では無理じあなやつぱり金杉屋、
が納入したものが最初から混ぜ物でないと直ぐに発覚する、最初から混ぜてあれば刀を打つても分からぬかもしれぬな、比率を上物5に中物5だとすれば、1万両の5割5千両として、中物、
5百両だから、通常の儲けを加えれば5000両にはなるのだろう、

絶対にやるはずじあと言ったのです、次の日になり出仕すると助衛門が配下の者では逐電した者はいませんが、引き続き監視しますと言うので、やはり国友村にいるのじあろうと言って、
材料の集まり具合を見ると文を出して、明日でも出立して砂鉄を調べてくれと言うと、承知しました配下を連れて見分に行ってきます、こうなると佐藤が怪しいことになりますと言う、
ので、

気をつけなされ、やつが藤田、金杉屋とグルなら何をするか分からぬ、腕の立つ者を連れて行く事じあと言ったのです、城を下がり南町奉行所に行くと大岡忠相が国友の部下ではありま、
せぬが、水戸藩江戸留守居役の中川三郎が藩士3名と水戸に向ったそうです、お庭番が後をつけていますと言うので、昨日の件が漏れたのかも知れぬ、ほうおっておくわけにはまいらぬ、
これょり水戸に行ってきますと言って城を出て、

上屋敷に戻り山形に事情を話して5人に用意させて、玄海屋の船で水戸に向ったのです、夕方には水戸に着き上陸して旅籠に宿を取ると、才蔵がやって来て、常陸屋、金杉屋のへ忍び込み、
ましたが、砂鉄の送り状は上物だけになっております、中身は調べようがありません、常陸屋が御用達を外されたのはなぜだかはっきりしません、国友村は動きはないそうです、行方しれ、
ずの男ですが、

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