第41話

文字数 2,676文字


源三郎江戸日記(弟五部)41

わしが高鍋に帰ったときに指南したら喜んでおられたぞと言うと、そうですか、父上も歳をとり冬の寒さは耐えられなかったのですねと言うので、そなたも今年の冬はぬくぬくと過ごせ、
るぞと笑ったのです、女中が殿様のおつきですと言うと、部屋に入ってきたので上座を進めると、うしろから千坂兵部がそれがしもお邪魔して宜しいかと言うので、どうぞ遠慮なされる、
なと言うと、

治憲が行きたそうな顔をしているので連れて来たのじあよと言うので、大歓迎で御座る今日は旧交を暖めましょうと言うと、膳が運ばれたのでみんなで杯を傾けたのです、柘植は護衛で、
来ておるのでしょうと言うと、柘植の息子も宗憲の近習しておる、今日は親子そろって護衛をしておるわと言うので、それでは呼んできましょうと立ち上がり階段を降りていくと、柘植、
がお久しゆう御座りますと言うので、

元気そうじあな、そちが柘植の息子かと聞くと、柘植新之助に御座いますと言うので、歳はいくつじあと聞くと16に御座いますと言うので、殿の護衛ご苦労じあな、女将腹にたまる物を、
出してあげなさい、柘植はわしと同道せよ、護衛は息子にまかせろというと、新之助油断するなよと柘植が言うと、承知しましたと返事したのです、柘植を連れて部屋に入ると膳をもう、
一つ出したので再び杯を重ねたのです、

宗憲様ももう18で御座いますなと言うと、側室の子なれば米沢に住んでおるが、そろそろ江戸に呼ばねばならぬと言うので、跡目争いが起らぬように早く嫡子の届けを出しなされと言う、
と正室に子がおらぬので今まで待っておったのじあが、もう良いじあろう、しかし病弱じあからなあと言うので、付いている近習が守り立てれば良いのでございます、剣の修行が無理な、
れば学問をなされば良いのです、

論語等ではなく、治世に役に立つ学問でございます、南蛮の文献を取り寄せて読ませるのです、治水、経済、天文学、薬学、算用等に御座います、知識があれば藩を指導できます、ゆつ、
くりと学ばせなされば良いのです、興味をもたれて元気になられますよ、それがしが遠眼鏡を若殿にとどけましょう、これで星を見れば愕かれますぞ、天文学は水田の作付け次期その年、
の日照の具合、

雨の状態等を知る上に大切にござります、毎年記録を取っておけば冷害もある程度予測できるのですと言うと、治憲がそうか役に立つ実践学じあな、それは良いさつそく長崎に人をやり、
南蛮の本を手にいれて、それを翻訳させようと言ったのです、近習共と一緒に学ばせるのです、宗憲様の時代にきっと役に立ちますよと言うと、良い事を教えてくれた、やはり源三郎に、
相談すれば、

直ぐに道が開けるな、兵部教える者を探してくれと言うと、承知しました、それなら蘭学と言う事になりますので蘭法医師が宜しいですね、ご老中いかがですかなと聞くので、有名な者、
はダメです、有名な者はことさら難しく教えてみんなが閉口します、町医者で蘭学に詳しい者が適任です、米沢にもいるかもしれませんと言うと、わかりました、それがしが聞いても分、
かる者を探しますと言ったのです、

物産会所にも顔を出させて学ばせておる、面白がっているようじあから、実践学は好きなんじあろうと言ったのです、ところでエミそなたは源三郎と旅をして色々面白い事に出会った、
じあろう、それを聞かせてくれぬかと治憲が言うと、ハイ、波乱万丈でござりますといって、しからば、つい最近の事でございますと、二本松の一件をエミが面白おかしく話すとみん、
なが大笑いしながら聞いていたのです、

源三郎が話しを聞くだけではなく、箸も動かさぬと女将が困っていますよと言うと、千坂がそうかそうしないと女将は儲からない訳ですなと言うと、海鮮料理をみんなが食べて、美味い、
美味いと言ったのです、その他に館林藩と白河藩の戦話をすると、千坂がそうで御座るか今でも戦をしておられるのですな、思えば桜藩の城に毘沙門天の旗を翻して凱旋したのは遠い、
昔になりましたなと言うと、

治憲が源三郎に頼みがあるのじあがと言うので、何で御座りますかと聞くと、この後の巡察に宗憲と新之助を同行させて色々学ばせてくれぬかと言うと、千坂がしかし若殿は体がと言う、
と、今は夏じあ冬なら耐えられぬかもしれぬが大丈夫じあろう、もしもの事があれば天命じあよ、治世を受け継ぐからには色々他国を見て学ばねばならぬと言うので、承知しました色々、
他国を見られれば、

逞しくなられるでありましょうと引き受けると、それでは前髪のままでは具合が悪い、元服は江戸にて行うが、ここで前髪は落としてやろう、女将がやってくれぬかと言うと、承知しま、
したと言うので、それでは出陣式をやりましょう、女将タイの塩焼き、勝ち栗、コンブ、名取の吸い物を用意出来るか聞くと、用意できますというので頼んだのです、柘植、宗憲様を連、
れて来てくれと言うと、

承知しましたと部屋を出て行ったのです、源三郎がこれからは伊達、山形、弘前、南部、蝦夷に参ります、天気がよければ稚内、千島列島を見て函館に戻り、船にて銚子に行き利根川を、
遡り米沢藩の飛び地印西に行きます、銚子に戻り江戸に帰る道筋ですと言うと、印西にも連れていってくれるか、それは宗憲の為になるじあろう、江戸には知らせておくと言ったのです、

宗憲が入って来たので、若君ようまいられたというと、ご老中の事は父上からよう聞かされております、宜しくお願いいたしますと言うので、丁重な挨拶痛み入りますと言うと、女将が、
それでは前髪を落としましょうと言って、宗憲と新之助を別室に連れていったのです、程なくできましたと連れて来たので、みると、中々の武者ぶりです、2人とも体は大人に御座るの、
で、

立派な大人の侍に御座りますなあと言って、若殿は治憲様の横にと言うと、治憲がそれはならぬ源三郎は元はわしの家臣じあが、今は老中である、そなたは格下となるので真向かいに、
座るのじあ、決して作法は間違えるでないと言うので、承知しておりますと宗憲が前に座ったのです、みんなの席にタイの塩焼き、コンブ、勝ち栗、名取の吸い物が来たので、治憲が、
2人とも覚えておけ、

出陣の祝いの料理は敵の首を取って戦に勝ちくりで喜ぶ、命惜まず名を取れと言う意味じあよと言って、いざ出陣と源三郎が言うとみんなで杯を重ねたのです、それでは兵部に我が藩、
が勝った佐倉藩との戦の様子を話してもらおう、そなた達はまだ生れておらぬ前の事じあと言うと、千坂兵部がそれではと言うと、佐倉藩との糞祭り合戦の模様を話し始めたのです、

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