第88話

文字数 2,929文字


源三郎江戸日記(弟五部)88

ポルトガルはアジアの覇権争いから撤退して南アメリカへの進出に力を入れているのでしょう、今やインカ帝国は見る影もないようですな、原住民の搾取を続けるとやがて大規模な反乱が、
起きて撤退する事になります、原住民との融和政策を推進させることが最良と思いますがと言うと、まさにその通りなのですが、貴族の中には強行派も多くて一筋縄にはいかないのですよ、
と言ったのです、

この時代になっても人を奴隷として使う風潮が残っているのおかしい事です、イエスの人類総てに慈悲与え、隣人を愛せよと言う教えは、今や特権階級になった、司教や神父が捻じ曲げて、
いるのは嘆かわしい事ですと言うと、その言葉もお気をつけなされ、異端者として迫害を受けますぞとアンドレが言うので、ローマ法王の回りの者共が、権力をむさぼっているのでしょう、

ローマに寄り法王に聞いてみますと言うと、何と無謀な事をと言うので、アリサが村上閣下は無謀な事をするのが好きなのですよというので、この気性ではハポンの将軍も一目おいている、
のでしょう、わたしは閣下に共感しましたが、とてもそんな勇気はありませんと笑ったのです、非公式の訪問なので晩餐会は開きませんが、自由に国内を見分なされ、これは許可証ですと、
渡すので、

有難う御座いますと受取り、小判100枚を出して、これは陛下への献上品ですと渡すと、ハポンの小判とは陛下が、お喜びになるでしょうと受取ったのです、外務省を出て町の見分に向かう、
と、アリサがひやひやしましたよと言うので、中々筋の通った大臣だねと言うと、ハイ、イスパニアに占領されていた地方を交渉にて取り返した、外交の凄腕だそうです、撤退しないなら、
フランスと同盟を結び武力に訴えるといったそうです、

イスパニアはフランスと事を構えたくないので、出兵の費用をポルトガルが払うという条件で撤退したそうですと言うので、なる程フランスが相手となると、アジア、南アメリカの植民地、
維持も難しくなるからな、さすれば、南アメリカは、ポルトガルとフランスの物になってしまい、イスパニアは大打撃を受けるわけかと言うと、中々したたかでしょうとアリサが笑ったの、
です、

ジェロニモス修道院とベレンの塔を見物すると、見事な建築と内装は豪華絢爛です、植民地の富を集めて作ったのだろう、こんな小さな国がこんなに繁栄しているとは驚きだ、まさに海上、
帝国だねと言うと、今はイギリス、フランスに押されています、長くは繁栄しないと思いますとアリサが言ったのです、明日は陸路マドリードにいきましょう、内陸になますリスボンから、
は600kmありますので、

馬でも10日はかかりますと言うので、やはり海路は楽だねと言うと、マドリードからバレンシアまでも10日かかります、そこからローマに海路で2日ですと言うので、まあゆつくり旅を楽、
しもう、イスパニアには今から120年前にハポンからローマ使節団として若者達がイスパニアの船で長崎からリスボン、マドリード、ローマに至り、ローマ法王に謁見している、又その、
30年後に、

伊達政宗と言う大名の家来が自前で南蛮船を作り、やはりリスボン、マドリード、ローマに来て、ローマ法王に謁見しているが、ハポンに帰った時はキリスト教が、禁止になっていたので、
改宗した者達は非常に苦労したと聞く、この時に活版印刷の技術をハポンに持って帰った、と言われているのだよと言うと、そんな昔にローマまで来たハポン人がいるのですかと言うので、
何人かはイスパニアに残ったらしい、

名前にハポンがつくと聞いたので、その者達の子孫に会えるかも知れぬなと言ったのです、そろそろ夕食の時間です、ここは魚料理が沢山あるのですよ、焼き魚も沢山ありますと言うので、
いわしがあるかもなと言うと、どんな魚ですかと聞くので説明すると、ともかく頼みましょうと言って、フランス語で焼き魚料理と赤ワインを頼んだのです、ワインが来たので杯を重ねて、
飲むと、

意外と渋みはありませんので、これはわたしに会うかもと言うと、魚用なので渋みが少ないのです、でもワインは渋みがある物の方が高級なんですよとアリサが笑ったのです、魚が来たのだ、
見ると、愕いたことにイワシの塩焼きに野菜にパンが添えてあります、この魚をハポンではイワシと言うんだよと言うと、ポルトガルの定番料理ですよと言うので、一口食べて、これは油が、
乗っていて美味いと言うと、

アリサも食べて本当だ美味しいですね塩加減も中々良いですね、いわしは何処でもいるのですねと言ったのです、もう一皿持ってきたのでみるとマグロの赤身みたいです、これも焼いてあり、
食べて、これはマグロだと言うと、源三郎は本当に魚が好きなのですねとアリサがいうので、どうも安上がりに体が出来ているらしいと笑って、なるほどこのワインは魚に良く会うなと喜ん、
だのです、

翌日は馬を調達して、陸路をマドリードに向かったのです、中々道は整備されており、街道の宿場町は比較的大きいのです、みんな東洋人はみた事がないみたいで、珍しがられるのですが、
ハポンは知っているみたいで、一様に東の遠い国からの来訪に愕いていたのです、ゆつくりと旅をして10日目にはマドリードに到着したのです、アリサもここは初めて見たいなので最初に、
外務省に顔を出して、

ハポンの外務大臣だが貴国の外務大臣にお会いしたいと言うと、大臣が出て来て、駐仏大使から連絡を受けています、遠い所ご苦労様ですと言って席を勧めるので、アリサが通訳して席に、
座り、西洋に来た訳を話すと、我が国も漂流民はオランダを経由して送り返しましょうというので、鎖国していますので条約は結べませんが、宜しくお願いすると頼んだのです、ハポン人、
には100前には手痛い思いをさせられたと聞いていますと言うので、

シャムの件ですなと言うと、ハイ、当時は植民地獲得競争をオランダとやっていましてイスバニアはルソンをオランダはインドシナを植民地にしたのです、ルソンのイスパニア艦隊がシヤム、
に侵攻したら、ハポンの山田長政の艦隊との海戦になり大損害を出して退却したのです、当時ハポンではキリスト教が禁止され、改宗しない者は国外追放になり、シャムに移住していたので、
す、

シヤム王は列強の侵攻を防ぐ為山田達を傭兵として雇ったのです、西洋と同じ軍船を12隻持ち多くの大砲、鉄砲をハポンから持って来ていたそうです、それで列強はシャムへの侵攻を諦めた、
のです、そのご山田長政はシャム王の家来からの懺悔にあい毒矢で殺されて、ハポン人町は襲撃され多くのハポン人が殺されたそうですが、生き残ったハポン人はシャム人と混じり行き延び、
たそうです、

今では大勢のハポン人の末裔がシャムにはいるそうです、我が国にも使節団として来てそのままいついたハポン人がいます、かれらはハポンに誇りをもっており、名前にハポンをつけている、
そうです、その長老に知らせておきましょう、非公式なので晩餐会は開きませんが、宿泊所は我が国で用意します、ハポン人は中々手強いと西洋では有名です、このたびはは閣下がロシア、
一の騎士を簡単に討ち取ったと聞いて愕いていますと言ったのです、

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