第52話
文字数 891文字
(※ 十二月の祭竈から正月の〝望の日〟(=満月の日)までの二十日間あまり。)
入洛すると徐云は、さっそく、章弦公主・
数日を待たずとも、南宮唐ら境丘の使節の一員として、公主のもとを公式に訪ねることになっていたのだが、ここは
その徐云の隣には、年が明け十三歳となったばかりの張暉がいた。どうやって
明璇は天官内宰の吏人から二人の来訪を告げられると、(もうすっかり気のおけぬ間柄となっているとはいえ)主人・娥姚の前を下がる際の揖もそこそこ、徐云の待つ東の脇院へと、あわただしく小走りとなって向かった。
東の脇院は区画のすべてが庭という庭院で、影壁を抜けて屏門に至った明璇は、その庭の敷地のかなりを占める池の端に、もう一人の学生とともに侍す、十八歳となった徐云の背中を見た。
昨年の秋の終わりころから三カ月余りを経ての再開であったが、直裾深衣を纏ったその背は、わずかな期間を
「
呼びかけたその声に振り向いた
「――…あの……、境丘よりの使者のお役、大義です」
続く言葉は、自分でも不思議なほど小さく、遠慮がちなものだった。かつてなら、辺りかまわぬ大声を出せたはず……。
一方、深々と長揖をする徐云の方もまた、色鮮やかな曲裾深衣を巻き付けた明璇の姿に圧倒されていたのだった。
つい