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文字数 1,220文字
毎日毎日、昼夜を問わず、
街を駆けまわった
そしてさらに
自分とバイオロイドの力を試す機会を得る
街の裏路地で人間の女性を
襲おうとしている異世界人
僕はビルの谷間を跳躍して飛び回り、
そのまま異世界人の背後から飛び蹴りを入れる
異世界人は路上を転げ回って吹っ飛んだ
なんという解放感
今まで抑圧されていたものすべてが、
暴力という捌け口で昇華されていくのがわかる
助けた女の人は、
バイオロイドの姿を見ると
悲鳴を上げて逃げて行ったが
その悲鳴すらも心地よかった
それから僕は寝る間も惜しんで
異世界人を探し回った
複数のバイオロイド相手に成す術もなく
ボコられる異世界人
自分達は正義の味方で、
正しいことを成しているのだ
という高揚感がみなにはあった
一人で狩りをして、
異世界人を追っていると……
その異世界人はどんどん
僕の家に近づいてき来ていた
しかし異世界人は
家の目と鼻の先まで迫って来ている
なんで家がわかる?
僕とバイオロイドをつなげる脳波を
辿って来たのか!?
異形の屈強な巨体を真近に見て、
パニックになって慌てふためき震える自分
その瞬間、バイオロイドが
異世界人の顔をぶん殴った
異世界人はよろけながら耐えて、
バイオロイドを殴り返した
それから異世界人とバイオロイドは
ひたすらに殴り合いを続ける
僕は目の前で繰り広げられる殴り合いを
震えて見ているだけだった
しかしなんでだ?
バイオロイドが殴り続けていたのは、
脳波が出ていたからなのか?
やがて異世界人は力尽き、
その場に倒れ込んだ
バイオロイドもボロボロの姿で立ち尽くしている
月明りに照らされるバイオロイド
そのマスクも壊れ
中が剥き出しになっている
マスクの中にも顔があるのか?
闇に眼が慣れ
段々バイオロイドの顔がはっきりわかる
心臓の鼓動が早くなっていく……
動悸がして、呼吸が出来ない
ジンジン痺れる
それは地球防衛軍に入って
『異世界人』との戦争で死んだ兄貴の顔
お前はいつも優秀で
みんなに褒められて、認められて
僕にないものをみんな持っていて
お前さえいなければ……
お前なんか大嫌いなんだ、
大嫌いなんだ!
何もかもがグシャグシャになり過ぎて、
何もかもわからなくなっていく
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