陽子と夕子
文字数 1,272文字
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オフィスに驚きの声が響く。
声の主は仕事中の
隣の席に座っている同期の
今日もまたイライラしているのだ。
陽子は勝ち気な性格で、活発で行動的。
思ったことをズバズバ口にするタイプでもある。
少なくとも表面的には。
その攻撃的な性格が外見にも表れているのか、
生まれつき派手な色をした赤髪を
一本にまとめてキツく引っ張り、
頭頂部のかなり上で結う。
その為にいつも眉や目が若干釣り上がっている。
隣の席に座る夕子は
無口で大人しくて控え目。
何事に大しても自分から前に出ることがなく、
何を考えているのか
よくわからないところがある。
そしていわゆる天然でもあった。
見た目も眼鏡を掛けたショートカット。
会社でも全く目立たないような
地味中の地味と言える存在。
この二人には
二人だけの秘密があるのだが、
当の本人達もそのことを知らないので、
秘密と言っていいのかすら分からない。
それを知っているのは
神々だけということになる。
![](https://img-novel.daysneo.com/talk/4fb112406ed04ce56df03989cde58765.jpeg)
帰宅した陽子は、
もう既にベッドの中に足を突っ込んで
目覚ましをセットしていた。
そう思いながら
目覚ましを枕元に置き、
横になる陽子。
――景山陽子は毎日夢を見る
しかし目覚めた時、
夢の内容は全く覚えていない。
夢を見ていたことすら、
すぐに忘れてしまう。
目覚めた瞬間だけ
何か夢を見ていたことを
認識している。
だからそのことに気づくことも
考えることもない。
そして陽子は
今日も眠りにつく。