オネエ国王
文字数 1,781文字
この世界の国王は
新たに来た勇者を前にして興奮していた。
玉座から身を乗り出し
階段下にいる勇者から目が離せないでいる、
違った意味で。
この場に同席している国王の側近達は、
物々しく押し黙っている。
毎度毎度いつもの展開に
うんざりしている流浪の勇者。
またいつものように一喝してやろうかと
勇者が思ったその時、
予想外なことに国王は
その巨漢を揺らしながら
階段をノシノシと降りて来た。
勇者がそう思っている内に
国王はどんどん近寄って来て、
真横にぴったりと密着するかのように立った。
そうは思ったが
国王の妙な迫力と雰囲気に
気圧されタジタジ。
オネエ口調で
勇者を質問責めにする国王。
しかもやたらにスキンシップが激しい。
手を握って来る他にも
肩に手を置く、
背中に手を置く、
腰に手を回す、
しかもそれが不自然に感じないぐらいの
絶妙な加減でスキンシップを図って来る。
勇者の返事を待たずに
お尻まで触りはじめる国王。
周りで大人しくしていた
側近の中高年いわゆるおじさん達が、
お尻タッチの件を境に
口々ににわかに騒ぎはじめた。
国王や側近が
オネエ口調で騒々しく喋り続けるので
この場は、もう何がなんだかわけがわからない。