勇者の魂
文字数 1,262文字
勇者狩りで捕らわれ
危うく火刑にされるところだった
幼馴染みの友人サンタナを、
何とか助け出すことが出来た
成りすまし勇者ビー・フライ、
もとい義賊のペテロ。
ペドロとサンタナは
義兄弟として別れの抱擁を交わす。
勇者の魂とは一体何なのか?
個々に、各人の魂があり
勇者にも魂があるというのは当然のことだが
勇者の精神性を概念として
勇者の魂と呼ぶのなら、
彼もまた勇者であることに間違いはない。
勇者の志を持ち
勇者らしき行いをし
勇者であり続けようとする、
勇者として努力し続ける。
ペドロは勇者なのか、
それともただの成りすまし勇者なのか。
そして、その頃、
この世界にやって来た本当の勇者は、
未だ母の胸でスヤスヤと
寝息を立てて眠っていた。
神々は魔王軍の勇者狩りを予見し
その包囲網から逃れる為に、
転移と偽の情報を流して
この世界の真の勇者を
母の体内に転生させていたのだ。
神々からすれば
人間の被害者が出ることは想定済みであり、
そこまでしてまでも魔王軍の目を欺き
真の勇者を守りたかったということになる。
したがって、真の勇者が、
勇者として覚醒するまでには
少なくとも後十年以上は掛かるだろう。
それまでの間、
勇者ビー・フライは
勇者の代行者として
魔王軍と戦い続けなくてはならない。
果たしてペドロは
それまで生き残ることが出来るのか。