神々の戯れ
文字数 1,479文字
夕子はいつものように
小さい声でボソボソと喋る。
その言葉に呆れ顔の陽子。
デスクの上に置かれている
自分のバックを手に取り
陽子は帰ろうとする。
そのまま帰るのかと思われた陽子だったが、
手に何かの瓶を持ち再び戻って来た。
そう言って陽子が差し出したのは
瓶入りの眠気防止ドリンク。
陽子の意外な行動に
戸惑う夕子。
素直にお礼を言われて
ちょっと恥ずかしくなった陽子は
ツンデレのテンプレセリフを吐き捨てた。
だがこの陽子が渡した眠気防止ドリンクが、
後でヨーコの首を絞めることになる。
あの異世界には
眠っている時にしか行けない……。
陽子は早々に退社。
その後、他に誰も居なくなったオフィスで
夕子は一人明日の会議の資料作成に励むのだった。
今日の一日を終え、
再び睡眠の時を迎える陽子。
陽子が、深い眠りに落ちると
彼女の魂は彼女の肉体を離れ
枕元に出現した異世界に繋がるゲートへと吸い込まれて行く。
魂が異世界へと転移する際に、
ゲートの中で粒子のような物が
その魂を包み込み、肉体の構築を行い、
彼女には別の肉体が与えられる。
そして、陽子はヨーコとなって
ゲートの出口から異世界に現出するのだった。
この試みもまた
神々の戯れと言えば
それまでではあるのだが。
反乱軍の圧倒的劣勢、
仲間は次々と死んで行き
今まで以上の地獄絵図。
ヨーコはやはり今日も
泣きながら銃を撃ち続ける。
ヨーコはユーコが
ここに来てくれることを
信じ続けている。
しかし今日に限っては
ユーコがこの世界に現れるかは分からない。
何故なら日向夕子は会社のオフィスに泊まり込み、
徹夜で資料作成に励んでいるからだ。
陽子にもらった眠気防止ドリンクを飲みながら。