旅立ちの時
文字数 1,275文字
地下の生活、その食料事情が
それ程良い筈はなく
彼らはいつも地上の
美味しい料理を夢見ていた。
そしてもっと大変なのが
もちろん水であり
地下水を利用した水があるにはあったが、
それは非常に貴重な物で
お風呂などには滅多に入れない、
そんな環境で彼らは暮らしているのだ。
アットの発言に
他のみなも感嘆する。
彼らは『セミ男』と
呼ばれているぐらいなので、
もちろんここには男しかいない。
そして、ここの全員が
ここで働きはじめる以前の記憶がないので
女の存在を知る者も
見たことがある者もいない。
ここでは女は
もはや伝説上の生き物に等しい。
彼はまだ七日間の
本当の意味を知らない。
みなに見送られながら、
ポップは旅立つ。