二周目、本
文字数 1,150文字
男が再び気づくと
今度は本になっていた。
厳密に言えば彼は今
どストレートに本の勇者ということになるのだが、
本人はそのことに気づいていない。
しかしそんな彼の心配は
杞憂のものと終わる。
彼の本はそこそこ人気があり
手に取る人は多かった。
図書館で本を立ち読みしている男子が、
思わず声を上げる。
思わず声を上げた男子の反応に
本になった男の期待値は高まる。
その男子は一緒に来ていた
連れの男子を小声で呼ぶ。
本になった男の期待値は
もはやMAX、最高潮。
期待値のハードルを
上げまくっていただけに
一気に奈落に突き落とされたような
そんな気分の本になった男。
彼は今、
エロ小説の勇者ということになる。