運命の強制力
文字数 1,447文字
時の勇者が
その能力を発動させると
目の前に居る悪魔騎士の姿が
みるみる変貌を遂げて行く。
大剣を振り回していた悪魔騎士、
だがすぐにそれが持てなくなり、
それを手から落としてしまう。
どんどん時の勇者が大きくなって行く、
悪魔騎士からはそう見える。
やがて自らが着ていた
鎧の中に埋もれて
目の前が真っ暗になり
何も見えなくなって行く。
時の勇者、
その目の前に居るのは
悪魔騎士ではなく
ただの赤ん坊。
そう、時の勇者は
悪魔騎士の時間を
極限まで巻き戻したのだ。
悪魔騎士の肉体は
時間をどんどん逆行し、
子供に還り、赤ん坊まで戻った。
一見無敵にも思える能力だが、
時の勇者がこの能力を
使いたがらないのには理由がある。
この能力、逆に使えば、
つまり敵の時間を極限まで早送りさせれば、
相手を老衰、衰弱死させることが出来るのだが、
時の勇者はまだそのことには気づいていない。