女神の災難
文字数 1,817文字
新米の転移の女神である
アリエーネは困惑していた。
彼女の元に珍客達が
訪れて来ていたのだ。
顔に傷がある者達も多数居て
どう見ても
これは、人間世界のマフィアである
その関係者達が続々と死んで
ここに送られて来ているのだった。
しかも、先程まで抗争で殺し合っていた人達が
一同にここに会するので尚更始末が悪い。
とても新米のアリエーネの
手に負えるものではなかった。
そっちこっちで
殴り合いの喧嘩がはじまっている。
混沌したカオス状態の転移の間、
新米である女神アリエーネは
もう泣きそうになっていた。
上からの指示では、
このマフィアの集団、
どちらの組織であるにせよ、
すべて指定してある同じ異世界に転生させる、
ということになっている。
そんなことをしたら、
異世界に行っても抗争を続けるだろうが、
神々的にはそれが楽しみなのであろう。
ようやく少し落ち着いたと思ったら、
今度は柄の悪い男に因縁をつけられる。
困り果てている新米の女神アリエーネに
思わぬところから助け船が入る。
この柄の悪い男に兄貴と呼ばれた人物。
伊勢乃会若頭・
名は体を表す、名前の通りの巨漢で、
まるでプロレスラーのように
女神アリエーネはそう思いながら、
上からの指示書に目を通す。
石動不動:勇者
(つづく)