はじまりは、石スタート
文字数 1,647文字
気づくと男は石になっていた。
男、もとい石はそんなことを考えていた。
男というか、石はそう思った、石なのに。
だが実はそれは男の勘違いでもあった。
自分はただの石で
この世界には別にちゃんとした勇者がいる、
石はそう思っていたが
実はこの石こそが勇者なのだ。
なので現在彼は
石の勇者ということになるのだが、
比喩的表現でも
形容詞的用法でもなく
どストレートに石の勇者という
言葉そのままの存在なのである。
もう少し言い換えれるならば、
彼の魂自体が勇者なのであって
それが憑依した物は
すべて勇者になるということだ。
パンパカパ~ンッ♪
ファンファーレのような音がして、
石は次の異世界へと導かれて行く。
新たな異世界に移動する中、
石であった男は思う。